こんにちは、taikiです。
練習後に練習仲間に技について聞かれることありませんか?私もわからないことは聞いたり、逆に白帯の方から聞かれたりすることがあります。
自分の技を教えることに関しては、聞かれたことはなんでも教える人も入れば、自分だけ情報を出すことに違和感を感じる人もいるでしょう。
今回は、柔術を通じて、情報を出して相手に与えることが得なのか損なのかについて考えてみたいと思います。
柔術ギブアンドテイク
柔術におけるギブアンドテイク(以下G&T)は具体的にどんな場面があるかを想定してみましょう。
インストラクターと会員のG&T
道場のインストラクターと会員との間には、道場のクラスやクラス後のフリーマットで技を教えてもらうことがあるでしょう。
柔術を教えるから、道場を開いている。柔術を習いたいから道場に通っている。
自然なG&Tが成立しています。
これに関しては、特に議論をする余地がありません。
会員と会員のG&T
では、会員と会員ではどう考えることができるでしょうか。話をわかりやすくするために教える人が色帯と教えてもらう人が白帯と仮定しましょう。
色帯のTake(=白帯のGive)がよくわかりませんね。この部分がよくわからないとG&TではなくGiverとTakerの切り離された関係になってしまいます。
これだとTakerである白帯さんだけが得をして、Giverとして存在している色帯さんは自分が得るものがなくて嫌になってしまうかもしれません。しかもTakerとして何かを獲得し続ける人が一番お得に見えてしまいます。
本当にそうなのでしょうか。
このGive&Takeの関係をGiverとTakerと成功者という視点で研究した人がいました。その研究結果を覗いてみましょう。
G&Tを真面目に研究した人がいた
研究を元にした本はこちらです。
この研究結果をザックリまとめるとこんな感じです。
- 短期的に見るとTakerは得、Giverは損
- 長期的に見るとTakerは損をして、Giverは損する人と得する人に分かれる
- 長期的に得するGiver(以下Top Giver)は全体の利益を最大化しようとする人
- 長期的に損するGiver(以下Bottom Giver)は何も考えずにひたすら与え続ける人
この結果を「Top Giver」「Taker」「Bottom Giver」に分けて一覧にすると表のようになります。
Top Giverは全体の利益を最大化しようと考える人達、すなわち自分にもリターンがしっかりと返ってくるように考えた上でGiveする人達です。
Takerは、最初のうちはよくてもだんだんと人に相手にされなくなってしまいます。搾取するだけなのですからそんな人と付き合うのは嫌ですよね。
Bottom Giverはとってもいい人なんでしょう。無償の愛をひたすら分け与える人です。自分の利益を犠牲にして、ひたすら無償の愛を与え続けた結果、長期的にも不幸になります。
会員と会員G&Tをもう一度考える
話を柔術に戻しましょう。
人に教えることは得なのか損なのかについて考えてみたいと思います。
色帯のTakeは何かを考える
先日↓こんなことがありました。
昨日、道場で「試合で使っていたあの技教えてください」と聞かれたので、やってみたら出来なかった。「アレ?なんか違うなぁ」とか言っていたら左右が逆だったことに気付き、これまで感覚で大雑把にやっていたんだなぁってわかった。人に聞かれて、説明しながら自分の理解が進むってこのことですね。
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) 2019年4月9日
自分がやっていることを人に教えようとしたらうまく伝えられなかった経験をしたことが誰しもがあると思います。
そういう場合は大雑把に感覚でやっていることが多く、再現性が低い。逆に言えば、言語化して説明できることは理屈があって再現性があるということでしょう。つまり、人に教えることを通じて大雑把にやっていたテクニックが修正されます。
また、人に伝えようとする過程を通じて、どうやって説明するとテクニックのコンセプトが伝わるか頭を使って考えることになります。そこには思考があり、言葉の選択があります。同じ技でもキッズに教えるのと大人に教えるのでは使う言葉が違うように、人によっても言葉を自然と選んでいるはずです。これは言語操作能力の良いトレーニングになります。
即ち、教えることを通じて、2つのことを得ることが出来ます。
- 自分のラフなテクニックの修正
- 言語操作能力のトレーニング
著名な柔術家でも岩崎選手や金古選手のようにブログやSNSが面白かったりする方がいらっしゃいます。その理由の1つは日常的に柔術のインストラクションを通じて言語操作能力を鍛えているからではないでしょうか。
人に技を教えるということは実はこんなTakeがあったのです。
ただのTakerにならない為にできること
更に白帯さんが単なるTakerにならないようにできることについても考えてみましょう。
白帯さんが質問をする際に、どちらの聞き方がいいでしょうか。
パターン1:
白帯君
ベリンボロ教えてください。
まずはダブルガードから、、、
紫帯君
パターン2:
白帯君
ベリンボロをやりたくて、見よう見まねですが、やってみました。
帯をもって頭を相手の下に潜らせることは出来たのですが、そこからバックテイクに行こうとすると毎回逃げられてしまいます。何がダメか教えてもらえませんか。
潜った時に相手のお尻が、、、、
紫帯君
パターン2の方が質問力が高いのはわかりますよね??
質問前に思考することによって、相手のGiveを節約させて、自分のTakeを増やすことが出来ます。このプロセスを自分でやるとコミュニケーションの利益を高めることに貢献できるし、何より自分の上達も速まることでしょう。
まとめ:柔術Top Giverになろう
今回は、柔術を教えることを題材にG&Tを関係をとりあげてみました。
物事には短期的な見方と長期的な見方があります。柔術は黒帯になるのに10年以上掛かると言われている通り、長期的なスタンスで継続するライフタイムスポーツです。
当然、柔術家がなるべきは長期的にリターンを考えるTop Giverです。
最近、ジョン・ダナハーの「自分よりも強い相手と練習していては、強くなれない」発言が話題になっていますが、これは解釈を変えると、「自分よりも弱い選手には(自分の為にも)積極的に技を教えましょう」ということなんじゃないでしょうか。
自分のノウハウを出し惜しみせずに教えた人にこそ、ノウハウが蓄積されます。白帯の困っている人や初心者には億劫がらずに積極的に声をかけてサポートしてあげましょう。その行為は巡り巡って自分に返って来るはずです。(もちろん何でもかんでも教えればいいのではない)
以上「みんなが得する柔術的ギブアンドテイク術」でした。
オマケ
青木選手もインタビューで同じようなことを言ってました。TOP Giverの発想ですね。
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