教則動画レビュー『DAWN OF KOD』

こんにちは、taikiです。

前回の『Guard Reviver』に続き、松本選手の『DAWN OF KOD』を取り上げようと思います。
『Guard Reviver』がとってもわかりやすく、違う作品も見てみたくなり、本作品を見てみました。

結論から申し上げると、『DAWN OF KOD』もめちゃくちゃいいです。本作品を通じて、私はリバデラのことを何もわかっていなかったことが分かりました(涙)

それ以上に松本選手の強さの秘密がなんとなく見えてきましたので、私なりの視点で紹介していこうと思います。

ざっくり理解する『DAWN OF KOD』

まずは全体像を見ていきましょう。

制作者の意図を汲み取るためには目次を構造化をする必要があります。中身を見ていくとこんな感じかなぁと思いました。

ここで重要なのが、コンセプトが2つに分かれている点とKODが特出しされている点でしょうか。本来なら、こんな感じでまとまるはず。

  • コンセプト(1,20-21)
  • リバデラの攻防
    • KOD(02-09)
    • スタンドの攻防(10-11)
    • その他(14-19)
  • ハーフガード+リバデラの上足の攻防(12-13)

要は「コンセプト」と「リバデラアタック」と「vsハーフガード」でしょうか。
ただ、コンセプトを最初にまとめて理論先行になると飽きやすいし、タイトルをKODと言っているからこそ、KODを最初に持ってくるといった意図もあって、こういう構成に落ち着いた気もします。

ここがすごいぞ『DAWN OF KOD』

この教則動画を見ていて特にすごいなぁと思った点を上げていきたいと思います。

相手をよく見る

「03.KODのタイミング」でどのような状態になったらKODを発動できるかが解説されています。

ここで注目なのが、松本選手が相手と自分の状態を丁寧に見ているということです。KODはワームガードのように詰めて詰めて作り込むタイプの技ではありません。相手の動きを見て狙うカウンターやタイミングの技。逆に言えば、自分のタイミングで発動できる技ではありません。そうなると相手をじっと見て、機会を伺う必要があります。

進撃の巨人/講談社

「相手をじっくり見て、冷静に判断する」……これって言われれば「そりゃぁ、そうだろ」となりますが、一番むずかしくないですか?

初心者のうちはパンパンになった腕で相手のどこかを掴みがちです。そんな状態ではタイミングを待つというのは出来ないでしょう。タイミングを狙ったり、待ったりするのは、ある程度脱力することが条件な気がしていて、むしろそこにこの技の最初のハードルがあるのかなぁと思いました。

ある意味、この教則動画で松本選手のわかりやすい解説を聞けば、手順を覚えて、理屈を頭で理解することはできるでしょう。けど、実際にスパーリングで使いこなすのには時間がかかるはずです。知識としての吸収と技としての体得に時間差が大きく出る。自分本位の技じゃないので実際に試せるタイミングが限られます。単純にその状況になる回数をドリルのように何度も作れないし、限定スパーをしたって相手が同じリアクションをするとは限りません。

松本選手が相手を見るとサラッと言ってますが、そういう背景もあって体得には時間がかかることは理解しておいたほうがいいかなぁと思いました。(逆に、その部分を丁寧に説明するとそれだけで一本の教則動画になってしまうのでしょう)

スパーリング中に鼻歌を歌えるぐらいの余裕があってこそ、発動できる技なのかもしれませんね。

カカトを保つ意味

リバデラでもデラヒーバでも基本の形はカカトを持ちますよね?
私はこれまでヒールグラブの意味がよくわかっていませんでした。なんとなく手を添えるだけで、特に意識はしてない。むしろ、持たないことの方が多かったような気さえしています。

そんな私をぶん殴るような、いや、ヒールフックで拗られて足首と膝の両方を破壊されるような一言が「01.KODコンセプト」の動画の中にありました。

「自分がカカトを持てるまではアタックしない」

カカトに意識のない自分には衝撃的な一言でした。その理由は「21.脚の構造についての解説」の中でキッチリとこれでもかと言うぐらいに人体の構造に根ざして解説してくれています。松本選手自身が整骨院の院長というだけあって、説得力があります。

そもそも私の技の中にはリバデラからのアタックがほとんどありませんでした。おそらく、私がやっていたのはリバデラとハーフガードの間で彷徨う何かであって、中途半端な何かを雰囲気だけで「リバデラ」と思っていただけなのかもしれません。そんな状況では技なんて身につきませんね。

これまで私がやっていたリバデラは「技の仕組みを理解しないで動作をなぞっているだけ」という一番ダメなやつだったようです。

これがわかっただけでも得たものは大きかった(涙)

『Guard Riviver』に通じるガードリテンション

「01.KODコンセプト」の中でリバデラの基本の形を丁寧に説明してくれています。
そもそもリバデラとは上足のスネと同側の腕を合体させてフレームをつくり、反対側の下足で相手の足に螺旋状に絡みつき(スパイラル!)、その下足に腕を潜らせて足と腕を合体させ、カカトを抑えて完成します。文章が長くてよくわからない?

わかりやすく言うと、腕と足の悪魔合体×2です。そうです、『Guard Reviver』でも出てきた足と腕の合体技。それを両方で行う。それは強いはずだ。2作品を見たからこそ、共通点が見えてきました。

強い理由には腕と脚の合体フレームという裏付けがあるわけです。

『DAWN OF KOD』の合体フレームを見てみよう

ここまで来ると『DAWN OF KOD』に使われている腕と脚の合体フレームの存在が気になります。

私の調査によるとこちら。

松本選手の柔術の根底に「強いフレームを作る」という独自の柔術哲学があるのでしょう。

特に「18.片脚立ちの相手へのカウンター④ ストンプスイープ」で使っている自分の手で自分の足を掴んで持ってくる動きは、松本選手に限らずガードの強い選手の動きで見かけるので注目です。

まとめ:落ち着いて相手をみて、強いフレームを作ることが大事


『DAWN OF KOD』と『Guard Reviver』の2作品を見て、共通していたことは、2つありました。

1つは落ち着いて見ることです。松本選手はとにかく解像度が高い。相手の動作、腕や脚の位置、体重の乗っている場所を理解したうえでアタックやディフェンスをしているように見えます。「なんとなく」がないのでしょう。やることに根拠がある。だからこそ自信が持てて、迷いがなくなるのでしょう。

もう1つは腕と脚を合体させたフレームです。『Guard Reviver』にも登場していた合体フレームですが、『DAWN OF KOD』にも散りばめられていました。松本選手が教則動画を出す限り、随所に合体フレームの話は出てくるのだろうなぁと予想出来ますね。

この2つを理解して、体得すればあとはすべて派生型でしょう。この2つの点に着目して教則動画を見ると、単品の技ではなく、技術体系として自分の柔術に取り込まれるのではと思いました。「リバデラ」をなんとなく知ってるけどあまり使わないという人はぜひその門を叩いてみませんか。

以上「教則動画レビュー『DAWN OF KOD』」でした。

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