同じ噛みつきパスだけど説明する人が違うと違う技になる話

こんにちは、taikiです。

先日、上久保選手の担ぎパスと噛みつきパスの教則動画を購入しました。

商品が見つかりませんでした

最近、噛みつきパス(オーバーアンダー)対策をテーマとして練習していて、澤田選手や芝本選手のセミナー動画を中心に見ていました。

両選手は私が所属しているトライフォースということもあって、直接クラスで教わったこともあり、非常に慣れ親しんだ感覚があります。逆に上久保選手はお会いしたこともなく、多少距離があります。

この距離感が教則動画を見た時に新鮮な刺激になりました。

今回は、同じ情報に違う角度触れてみることのメリットについて考えてみたいと思います。

パーソナルトレーニングで習った筋肉への刺激の入れ方

教則動画を購入したという話であったのに、突然、筋トレの話をしようと思います。もちろん、あとで筋トレから噛みつきパスに話はつながるのでご安心を。

私は、以前、トレーナーをつけてウエイトトレーニングを行っていました。いわゆるパーソナルトレーニングです。

その際に、スクワットやベンチプレスで50kgの重りで10回を何セットもやる日もあれば、80kgでめちゃくちゃ頑張って2回だけ上げる日もありました。

50キロで10回を何セットもやった方が運動量的にも豊富で筋肉に効く気がしたので、なぜ80kg2回のような高負荷低回数のトレーニングをするのかトレーナーに聞いてみました。そうしたらこんなようなことを言われました(うろ覚えで細かい部分は違っているかも)。

青帯くん
トレーナー

重さを変えたり、回数を変えたりして、筋肉にいろんな刺激を入れるためです。人によってどの刺激が良いかは異なり、それがどれかはよくわからない。だからこそ、あらゆる角度から筋肉を刺激するのです

「重さ」という視点で見る場合もあれば、「回数」という視点でみる場合もあるわけで、これ以外にも手や足の幅や握り方といった「フォーム」を変えたり、じっくりとあげたり、素早い動作であげたりと様々な視点を取り入れて、いろんな角度から刺激を与えました。

科学的根拠があるのかどうかはわかりませんが、妙に納得しました。

同じ技だけど、説明する人が違うと視点が違う

ここで柔術に戻りましょう。

上久保選手の噛みつきパス(≒オーバーアンダーパス)の解説で、「骨盤を上に向かせる」「みぞおちあたりに膝をあてて、足を伸ばさせる」といった説明がありました。

噛みつきパス自体はベーシックな技なのでどこの道場でも習うでしょうが、私が所属する道場ではあまり聞かない説明です。

逆に以前、芝本先生のセミナーに参加した際に、オーバーアンダーパスは相手の背中側にいかに周り込むかといった視点で解説されていました。

同じ技なのに説明が違うわけです。

ただ、説明が違うといっても最終的に目指しているゴールは同じであり、共通する部分もあります。

これが先程の筋トレの話のように、脳に違った形で刺激として入ってきました。

同じことでも説明する人が違うと見る場所(視点)や見る範囲(視野)が違うので当然ですね。

視点・視座・視野がもたらす視差の話

その一方で以前書いたこちらの記事。

オーバーアンダーパスを完璧に破壊する動画を見つけた話
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噛みつきパス(オーバーアンダーパス)をディフェンス側から捉えています。アタック側からみた噛みつきパスとディフェンス側から見た噛みつきパスでは見える世界が違います。

ここで、言葉の説明をしておきましょう。

視点:どこを見るか(カメラに写った映像)
視座:どこから見るか(カメラの位置)
視野:どこまで見るか(カメラが写す範囲)
視差:同じものを見ていても見えているものが違うこと

アタック側とディフェンス側は視座の違いですね。同じ噛みつきパスなのに人やテーマによって視点も視座も視野も異なるので別物になります。

そして、同じモノを見ているはずなのに、人によって見える景色が異なることがあります。情報の深さが違ったり、見ている範囲が違ったりと誰しもが経験したことがあるのではないでしょうか。そのギャップが視差です。

今回の噛みつきパスは視差が表れる事例ですね。

逆にいつも同じ視点、同じ視座、同じ視野では発想が凝り固まって、それが当たり前の状態になってしまいます。バイアスってやつです。

バイアスとは、
「傾向」「偏向」「先入観」といった思考や判断に特定の偏りをもたらす思い込み要因や得られる情報が偏っていることによる認識の歪みのことを意味する表現。英語の bias をそのまま日本語に導入した語であり、英語の bias も日本語と同様「傾向」「先入観」など文脈によってさまざまな意味合いで用いられる。
出所:実用日本語表現辞典

同じ教則動画を何度も繰り返し見てキッチリと覚えるのも大事ですが、同じテーマの教則動画を違った視点や視座から解説している動画を見て、脳に違った刺激を入れることも大事なわけです。

まとめ:複数の情報から自分なりの正解を見つけよう


同じ事件でも扱うメディアが違うとタイトルと印象が大きく異なるように、同じ情報でも違う情報源だったり、違う人から話を聞いたりすると微妙に説明の仕方が違ったり、視点が違ったりします。

柔術のテクニック動画も似たようなことが言えて、同じ三角絞めでも説明する人が違えば微妙に違います。

当然、この人が正解でこの人は不正解といった単純な話ではありません。

多くの情報源の中から自分なりの正解を見つけて行く作業が必要になるでしょう。そこには高度な情報処理があり、取捨選択が発生します。

その過程こそが柔術の面白さであり、醍醐味でしょう。

ぜひ、柔術を通じて情報処理力を高めましょう。

以上、「同じ噛みつきパスだけど説明する人が違うと違う技になる話」でした。

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