こんにちは、taikiです。
オーバーアンダーパス(噛みつきパス)でパスガードされたことがある人いませんか!?
ほぼ全員ですよね?
パスガードの定番中の定番と言えばオーバーアンダーです。何十年にも渡る柔術テクニック開発競争をくぐり抜け、古の時代から生き残ってきたパスガード、それこそがオーバーアンダーです(異論は認める)。オーバーアンダーを見ない大会があるのでしょうか。きっとないでしょう。
そんなパスガードベーシックであるオーバーアンダーパスを完膚なきまでに攻略する方法を言語化して実践している動画がありましたので紹介したいと思います。
澤田伸大 「オーバーアンダーパスディフェンス」セミナー
その動画がこちら。
いつもどおり、ブレイクダウンして見て行きましょう。
構成を見てみよう
セミナー動画ということもあってコンパクトです。
7つのカタマリで構成されていて、「イントロダクション」「本編」「応用編」と3つに分けて考えることができそうです。
イントロダクション
オーバーアンダーパスってなんだっけ?というスタート地点の確認です。
なにはともあれ、ここがズレていると議論が噛み合いません。それこそ噛みつきパスというからには噛み合わせは大切です(うまいこと言った!)。
本編
ディフェンスを構成する要素について詳しく説明してくれています。これは後ほど、解説しましょう。
応用編
カウンター技を2つ紹介してくれています。今回の記事はオーバーアンダーパスの本質を突き詰めたいのでこの部分は割愛。
動画の重要度がわかったところで、本編部分を見ていきましょう。
本編:Stiff Arm & Knee Shield
Stiff Arm(スティフアーム)という聞き慣れない言葉が登場しますが、難しく考えなくて大丈夫です。
Stiff-arm:
(アメフトで)向かってくる敵に対して、腕を真っすぐ伸ばして押しのけること
要は腕を真っ直ぐ伸ばして、筋肉で頑張るのではなく、骨の力を使う動きですね。
それを両腕で行って、距離を作って、そこにニーシールドを入れてディフェンスしようというテクニックです。
↓柔術のStiff Arm
ここでもう一つ着目したいのが、ディフェンスのゴールをニーシールドにしている点です。
ニーシールドが入れば、一旦、オーバーアンダーパスの猛威は収まります。ここから先のテクニックもニーシールドをゴールにする点は共通です。
本編:顔切り
次にスティフアームをやってもニーシールドが入れられない時に「顔切り」を行います。
柔術では「首を殺す」「顔を殺す」という表現をよく使いますよね?まさにアレです。
顔の向きを進行方向と逆にしてしまえば、進行できないというシンプルな身体の構造を利用します。
↓手刀で相手の顔を切るイメージです
顔切りで顔の向きを変えると、あら不思議!ニーシールドがスッと入ります。
顔切りの際に、手の形をグーでもなく、パーでもなく、指の第一関節と第二関節を曲げた猫手にするといった「なるほど!」と思えるディテールの説明もあってわかりやすいですね。
本編:腰の距離
スティフアームも顔切りもできない場合は、自分の下になっている膝を相手の腰の横に出して、腰と腰の距離をとります。
↓このイメージ
とにかく密着を防いで、距離をとる。
膝を横に出せてもニーシールドが入らない場合は、顔切りを追加しましょう。
あら不思議!ニーシールドが入りました。
本編:レッグスイングと骨盤アングル
スティフアームも顔切りも膝を出して腰の距離を取ることもできない時はどうするの?
そんな時は、骨盤が真上を向いている状態なので外側の足をスイングさせて、骨盤を傾けましょう。
↓外側の足をブンブン振って、骨盤に角度をつけます。真上向いちゃダメ。
骨盤が傾けば、膝を出せたり、スティフアームできたりと動ける範囲が広がります。そこで、これまでやった3つを総動員させてニーシールドにします。
4つのポイントは円循環する
この4つを説明した後で、まとめとして澤田先生も動画の中でこんなことを仰っていました。
フェーズに分けて説明はしましたが、実戦ではあまり順番は考えていません。円状になっていて常に狙えるところを見ています。
出来るところからやってください。順番はそんなに関係ないです。
どれか一つが成立すると他がもっとやりやすくなります。
私がもっともしっくり来たのは、この4つの動きには順番という概念がないところです。
円循環しているので、「スティフアーム」「顔切り」「膝を出して腰の距離をとる」「レッグスイング&骨盤アングル」のできそうなところからやる。そして最後にニーシールドにたどり着く。図解するとこんなイメージでしょうか。
これぞ円循環!
『喧嘩商売』で言えば煉獄ですし、『鬼滅の刃』で言えばヒノカミ神楽です。
むしろ、4つの順番は自由なので円循環よりも更に自由度が高い!
まとめ:手順を追うな、真理を追え!
私が澤田先生のセミナーを受ける度に毎回感じていることは、セミナーがとにかく論理的でわかりやすいことです。澤田先生にも直接聞きましたが、テクニック以上に「考え方」を伝えることを意識してセミナーを考えているとのことでした。
徹底的に考え抜かれた物事は、無駄が削ぎ落とされて、真理に到達します。
習った手順通りにやればテクニックの再現は出来るでしょう。しかし、手順を忘れた瞬間に再現性はなくなります。逆に言えば、真理を抑えておけば、応用範囲も広く自分自身で手順を変えることも出来るでしょう。
今回は、「オーバーアンダーパスのディフェンス」というニッチでマニアックな領域でしたが、これぐらい状況を限定した方が真理には辿り着きやすいのだろうと思いました。ニッチなテクニックを学ぶという視点ではなく、真理を学ぶという視点で本動画を見てみるとまた違った境地に達することが出来るはずです。
何事も上っ面の手順を追うのではなく、真理を追うようにしたいですね。
以上「オーバーアンダーパスを完璧に破壊する動画を見つけた話」でした。
あわせて読んでほしい
こちらの記事では澤田先生の論理的なセミナー内容を紐解いています。ぜひ参考にしてみてください。
オマケ
今回紹介した動画『澤田伸大 「オーバーアンダーパスディフェンス」セミナー in トライフォース池袋 (2021/1/11)』
円循環といえば『喧嘩商売』であり、『鬼滅の刃』ですね。