こんにちは、taikiです。
先日、芝本先生のパスガードセミナーに参加しました。
セミナーの内容は、最新の技を手順を追って再現するよりもコンセプト重視で、オーバーアンダーパスを中心としたベーシックな技の組み合わせでした。セミナー内容が知りたい方はこちらの動画をどうぞ。
セミナーの中で芝本先生が「相手の虚を突く」という言葉を何回か使っていました。
相手が想定していないことをやるといった意味でしょうが、私は「虚を突く」が気になって、最後の質問コーナーで直接聞いてみました。
その時のやり取りがめちゃくちゃ勉強になったので、まとめて残しておきたいと思います。
『虚を突く』のコンセプトとは
質疑応答
セミナーの質問コーナーでこんなやり取りを行いました。
「虚を突く」のコンセプトがあれば教えて下さい。
相手を何かに集中させることです。
「虚を突く」の主体が自分ではなく相手にありました。
図解:虚を突く
自分のアタックの引き出しと相手のディフェンスの引き出しがそれぞれあって、それを持ち寄って攻防をしているとしましょう。
私は、相手が想像できないようなことをする、即ち、自分が知識と知恵で相手を圧倒するイメージを持っていました。相手からしたら見たこともない技が繰り出される。そんなことが「虚を突く」なのだろうとなんとなく考えていました。
↓こんなイメージ。この究極が千の技を持つ男!
芝本さんが仰ったことはむしろ逆で、「相手の想像の範囲うんぬんよりも、相手の集中力を違うところに向けて、それ以外考えさせない状況を作ってから外す」がコンセプトだったのです。目の前のことに没頭しちゃうと、普段なら見落とさないことも見落としちゃう的なことでしょう。
人は自分が想定していたことが起こると必死に抵抗しますが、虚を突いて、「そっちかーー」ってなると諦めの境地に達して、最後のヒト暴れがないとも仰っていました。
私は自分の引き出しと創造力で勝負することばかり考えていて、相手の集中力をコントロールするという発想を持っていなかったこともあって、目からウロコでしたね。
虚を突く?意表を突く?
「虚を突く」に似た言葉に「意表を突く」もあります。
せっかくなので調べておきましょう。
虚を突く
相手の無防備な部分を突破口とし、そこから攻め入ること。「虚」は空虚である、何もない、という意味の他、油断も意味し、「虚に付け込む」などのようにも表現する。
出所:Weblio
意表を突く
相手の予期しないことをする。
出所:goo辞書
どちらも似たような意味ですが、私が最初に考えていたのは「意表を突く」であったようです。
自分の多様な引き出しによって相手の想像を超えることが意表を突くであって、相手に無防備な部分を作らせることが「虚を突く」です。
自分の引き出しを広げるには限界がありますので、柔術(特に試合)においては、「虚を突く」方が良さそうです。
まとめ:力や技が拮抗する「男の勝負」をしてはいけない
芝本先生が質疑応答の中で、「虚を突く」を別の言い方として、「俺の最高の技と相手の最高のディフェンスでぶつかり合うようなことはしてはいけない」とも仰っていました。
芝本先生が長きに渡って現役のトップ選手として活躍できている秘訣は、技術やフィジカル以上にこういった思考にあるのでしょうね。
私のような中年柔術家はぜひ見習いたいですね。
以上「相手の想像を超えるパスガードとはなんなのかわかった話【虚を突く】」
あわせて読みたい
芝本先生のセミナーは本当に示唆に富んでいます。こちらの記事も芝本先生のセミナーがキッカケで生まれました。非常に勉強になりますのでぜひ読んでみてください。