こんにちは、taikiです。
先日、こんなことがありました。
道場の門を叩いてから10年一緒に練習をしてきた仲間に散々やられていたパスガードの名前を今日、はじめて知った。その名はなんと、オーバーアンダー(噛みつき)。何をやられているかを理解するのに10年かかった😭
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) May 13, 2022
練習仲間のTさんがいつもよくやってくるパスガードがあり、道場でいろんな人がやられているシーンを何度も見てきました。
そのパスガードには、「Tさんっぽい」と形容されるぐらい独特なフットワイプの動きがあって、Tさんが独自に開発した技と思っていました。そうしたら、本人に聞いたらオーバーアンダーパスという、誰もが習ったことのある代表的なパスガードであり、定番モノだったのです。
このことがあまりにも印象的だったので、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
何をやられているのかがわかっていないと対策はできない
オーバーアンダーパスといえば定番中の定番ですが、私は一度も使ったことがありませんでした。
オーバーアンダーを作るキワで三角絞めに入れられそうで、積極的に相手の足を下から掬うという動作を避けていたのでしょう(当然、相手のもう片方の足を制御していれば三角絞めには入らない)。
自分がやらないから、当然やられた時もよくわかりません。
ただ、クラスでは習いますから知識としてのオーバーアンダーパスは積み上がっていきます。
今、思えば役に立たない知識が積み上がっていっていただけでした(もちろん、知識をゴミにしてしまったのは私が原因であり、オーバーアンダーが意味ないなんて一言もいってませんからね)
「知識」の増加が「知恵」の増加につながらなかった典型的な事例ですね。
知識とは
ある物事について知っていること知恵とは
物事の道理を判断し、適切に処理する能力
対策には「状況の理解」と「対策の理解」の両方が必要
今回の件で、何かの対策をするということは、「状況の理解」と「対策の理解」の2つの理解が必要なのだと改めて実感しました。
順序としては「状況の理解」が最初にあって、その先に「対策の理解」が来ます。
状況の理解とは
「状況の理解」とは、今、自分が何をやられているのか、どのような状態になっているかを客観的に把握することです。
「ガードポジションにいる」とか「バックを取られた」といったザックリというよりももう少し解像度が高い「ハーフガードでニーシールドを入れられていて、同側の袖を持たれている」とか「バックのアンダーアームサイドにいて、絞め手が頸動脈にあたっている」といった粒度です。
自分の置かれている状況が正しく理解できると相手が何をやってこようとしているか予想できるようになります。
これができないということは、これから狙われるであろう技もわからない、わからない技の対策はできないという状況に陥ります。
だから、まずは今、自分がどうなっているのか、これを抑えることにつきます。
対策の理解とは
対策の理解とは、カウンター技や対処方法を知っているかです。Youtubeや教則動画で見きれないほどに大量にありますね。
ただ、テクニック動画は「状況の理解」が出来ている前提で始まっています。
もちろん動画を見ているときは、状況の理解をしているつもりで見ているでしょう。しかし、実際のスパーリングになると抜け落ちることが多いのです。
実は「対策の理解」よりも「状況が理解」の方が難しいのではないかとさえ思えてきます。
情報過多の時代だと「対策の理解」から入りがちですが、実戦においてはその前段階があってこそですね。
練習で何をやられているのかわからなかった時は相手に聞こう
スパーリングの後に、練習仲間と振り返って話をすることがありますよね?
その中で「何をやられているのかわからなかった」というコメントはよく登場する気がします。
これは「状況の理解」ができていないので、すぐに聞いて明確にした方がいいでしょう。
「何がやられているかわからない」から「今、○○をやられている」に状況理解が進むだけでもとっても大きな前進ですし、「対策の理解」であれば自力でもなんとかなります(もちろん、そこも聞けるなら聞いたほうがいいに決まっている)。
とにかく、「何をやられているかわからない」から抜け出すことが、上達に向けた一番最初のステップな気がしました。
まとめ:まずは「状況の理解」から
「どんぶり勘定」という言葉があるように、なんとなく、荒々しい解像度で物事を考えていると最初は小さかったズレも大きな淀みとなって結果に大きな違いが出てしまいます。
柔術も同じで、まずは最初に状況を正しく理解すること、その理解の解像度を高めること、これが出来てはじめて対策が打てます。
スパーリングで逐一、今、何がどうなってるかを理解できれば、落ち着くことも出来ますし、対策も浮かんでくるでしょう。私のように10年間もオーバーアンダーをやられていることにすら気付かなかったとならないように、ぜひ、状況の理解を意識してみてください。
以上「相手がやっている技の名前を知らないと対策ができないとわかった話」でした。
合わせて読んでほしい
試合前に不安になっていろいろ手を出すよりも、今持っている技を強化した方がいいよっていう話です。