バックから逃げる練習よりもバックを取られない練習をした方が効率はいいのか

こんにちは、taikiです。

最近、コロナが落ち着いてきて日常生活が少しずつ戻ってきた感がありますね。私も少しずつ友人との会食をしていますが、まだ団体での宴会には抵抗感が拭えません。試合からのみんなで打ち上げという黄金コースまであと一息。もう少し頑張りましょう。

先日、クラス内でポジション限定スパーリングを集中的に行いました。

マウントやバックを取られたような不利なポジションから逃げる練習をするのであれば、不利なポジションを取られないような練習をした方が試合向きだし、効率よく強くなれる気がする。

そんな風に考えた方いらっしゃいませんか?

それって本当にそうでしょうか。今回は、ポジション限定スパーリングについて考えてみたいと思います。

不利なポジションを取られた時点で試合は決まるのか

柔術の試合は基本的に5分です(除くアダルトカテゴリ)。

その5分の試合の中で、3点差以上の点差がつくと勝負ついた気がします。要はサイド以上のポジションを取られると実質的に負け。

もちろんそこから逆転する試合もあるでしょうし、大量得点されてから極めて大逆転の展開があることは理解していますが、「ラッキー寝技」がないことは柔術に取り組んでいる皆様であればよーーくわかるはず。

そうなると限定スパーでマウントやバックから逃げる練習をするよりも、そうならない為の練習をした方が効率よく強くなる(≒試合で勝つ)練習な気がしてきます。

ここまでは普通に「そうだよなぁ」と思っちゃうはず。

けど、やっぱりそうじゃない。

一見正しそうに見えるこの理屈は重大な「ある視点」が抜け落ちています。

有利なポジションをとった後は何もしないのか


では、立場を逆にしてみましょう。

試合でパスガードして3点とったら多少安心することはあれど、追加ポイントや極めを狙いに行きますよね。

ポジション的に有利であっても、自由自在に技が極められるかと言ったらそんなことはない。

有利なポジションでの極めの練習やポジション移行の練習をやっていないととっさには出来ません。

そうなると限定スパーでマウントやバックからのアタックの練習はした方がいい。

ちょっと待った。

「バックを取られない練習」と「バックをとった後の練習」をした方が良い?

言ってることはわかる。

それだと「バックをとった後の練習」の相手(バックを取られた側)は誰がするのでしょうか?

抜け落ちていたのは、練習相手の視点ですね。

練習相手の練習にならないと意味がない

つまり、自分が不利な状態から始まる限定スパーは、自分の逃げることの練習以上に、練習相手のそのポジションでの練習になるから大事なわけです。

だから必死に逃げる。

試合で「俺はその状況に陥らない!!」という自信があったとしても相手のために一生懸命逃げる。

試合ではどんなに有利なポジションをとっても必死に逃げる選手が相手になるのだから、練習でも(自分が)必死に逃げようとしないと相手の練習にならないわけです。

また、中長期的に考えても、練習相手が強くなればなるほど自分も強くなるでしょう。

限定スパーがつまらないと言うのであれば、つならなくしているのは、相手のことを軽視している自分自身なのではないでしょうか。

「相手の立場になって考える」というこの視点こそが、柔術だけでなく社会生活においても大事なのは言うまでもありませんね。

実力差があると相手の練習にならないのか

そもそも「練習相手の練習にならないと意味がない」と言い始めると、白帯と茶帯・黒帯のように実力差があると練習にならないからそもそもやらないほうがいいのでは?みたいな発想をされる方がいらっしゃるかもしれません。

これに関してはあまり気にする必要はないのでしょう。

茶帯や黒帯は実力差がある白帯との練習では普段あまりやらない技を試したり、あえて逃げる練習をしたりと自分なりに工夫して自分なりの練習をしています。

また、そういう格上の人達は自分もそうやって多くの先輩方に練習に付き合ってもらって、強くなったことは認識しています。

過去に先輩方にしてもらってきたことを後輩にかえしているだけなので、その部分は甘えちゃって構わないでしょう。

逆に、自分が青帯になったら白帯の方に、紫帯になったら青帯の方に同じことをしてあげればそれが巡り巡って柔術界の中で循環が生まれます。

白帯のうちは、目の前の練習メニューを思いっきり取り組んで、力を出し切っていればそれだけで十分なのです。

まとめ:自分の練習だけが練習じゃない


今回、限定スパーについて掘り下げてみましたが、私がこの考え方に陥っちゃうことがよくあるので自戒の念を込めて取り上げてみました。

頭ではわかっていても自分本位の考え方に陥ってしまって、中長期的に考えたら損するなんてことはよく起こります。逆に、強い集団は練習相手がいかに強くなるかを考え尽くしている集団なのかもしれません。

限定スパーリング一つをとってもここまで思考を掘り下げることができちゃうんですから柔術の応用範囲は広いですよねー

ぜひ、「俺が俺が」という自分本位に陥らずに相手を思いやる心と視点の多様さを持って、豊かな人生をお過ごし下さい。

以上「バックから逃げる練習よりもバックを取られない練習をした方が効率はいいのか」でした。

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