こんにちは、taikiです。
先日のグラップリングイベントのGTF4見ました??
面白かったですね。
IGLOO勢の強さとレダ選手から一本とった谷口選手のディープハーフからの足関が印象に残りました。
次のGTFが早くも楽しみになってきましたが、シリーズとして続いていくためにはは運営母体がキッチリと収益をあげて持続可能な状態にすることが必要不可欠です。
そこで私なりにGTFが軌道に乗るためにどうしたらいいかを考えました。
GTFに限らず、グラップリングを日本で定着させる為の地道なロードマップ的な側面もありますので、関係者の方にも参考にしていただけると嬉しいです。
グラップリングイベント顧客像を読み解く
まずは、グラップリングイベント顧客の全体像がどうなっているかを抑える必要があります。
グラップリングイベント顧客の全体像と言ってもよくわからないので、セグメントに切り分けて考えましょう。
セグメントとは
あるまとまりを何らかの形で区切った区分のこと。ビジネスにおいてはターゲットを一定の基準で区切った集団。
引用元:カオナビ
これまでも三角絞め研究所で何度か登場したことがある4つに分けるアレです。
顧客を4つのセグメントで考える
グラップリングは柔術的な側面と格闘技的な側面がありますので、「柔術やっている・やっていない」×「格闘技を観戦する・観戦しない」の切り口で考えてみます。
このフレームワークをベースに話を進めていきましょう。
まずはそれぞれが具体的にどんな人達なのかをイメージしてみましょう。きっとこんな感じ。
それぞれはどれぐらいいるのか
また、今回のGTF4のPPVの閲覧者が400人ぐらいいらっしゃいました。
オンタイムで見ていない方も含めるとざっくりと500人ぐらいは購入者がいたのではないでしょうか。
その一方で、柔術の全日本マスター2020のエントリー人数を集計すると716名いらっしゃいました。アダルトも含めてざっくり1,000人が試合を楽しむ人です。
日本の柔術競技人口は2-3万人ぐらいいると言われております。(根拠は過去記事の「柔術の競技人口は何人いるのか?柔術で学ぶフェルミ推定」を読んでね。)
強めに見積もって3万人としておきましょう。
そうなるとざっくりとこんな感じになります。
③と④はたくさん(笑)
③と④の数値を正しく求めることが目的ではないので、ここでは「たくさんいる」ぐらいにとどめておきましょう。
GTFが有料課金する人を増やすために出来ること
GTFが有料課金してくれるお客さんを増やすには、なんとなく全体に声をかけるのではなく、各セグメントに響くような施策を打つ必要があります。
①ガチ勢施策
①の自分でも柔術の試合に出ていて、積極的にグラップリングイベントも追いかけるようなガチ勢の皆様には何が出来るでしょうか。
おそらくガチ勢の皆様は今回課金した500名であり、クラドファンディングで支援した315名です。
まずはこのガチ勢からのアツい支持を獲得し、安定した顧客基盤を作る必要があります。
そのためにもベタですが、ガチ勢にアンケートをしてみてはいかがでしょうか。
課金してくれた方々なら長めのアンケートも熱心に答えてくれそうですし、自分の意見が次回以降の大会に反映されているかどうかも見てくれます。
アンケート内容は、みたいカード、みたい選手、大会の試合数や長さ、煽り映像や選手紹介への要望や不満点、改善してほしい点でしょう。
見ている人が何を見たくて、どういったことを改善してほしいのかといった顧客像に迫りつつ、試合配信のブラッシュアップにつながるような意見を集めると今後の運営に大きく役立つことでしょう。
運営側もSNSを通じていろんな意見や改善提案は届いていると思います。
しかし、SNS上の声がでかい人に引きづられるのではなく、支援してくださった方々が望むものをアンケートを通じて定量的に捉えて、数値に基づいた判断してみてはいかがでしょうか。
今いるお客さんに向き合ってこそ、次のより具体的な施策が見えてきます。
②BJJやってるけど見てない人(エンジョイ勢)
次は、②の柔術やっているけど、見ていない人たちです。
「試合に出るほどじゃないけど、柔術はやっていて楽しい」といった人ですね。
このエンジョイ勢にお金を払って見てもらうことが中長期的には大事になります。
エンジョイ勢に関してもガチ勢と同様に直接アンケートで聞いてみるのがいいでしょう。
ちなみに、私個人の仮説は「普段一緒に練習している選手が大会に出場すると課金してでも見たくなる」な気がしています。
知らない強い黒帯の試合よりもよく知っている白帯の試合の方が面白く、気持ちを入れて見ることが出来ますよね。
各道場のまだ見ぬ強豪を少しずつでもいいので開拓して、出場してもらうのはどうでしょうか。
今回の谷口選手のようなサプライズも再び起こるかもしれません。
また、運営サイドだったり、出場選手がいろんな道場に出稽古してイベントの宣伝をするのもありでしょう。
自分の道場にGTF本戦に出場できるような選手がいなかったとしても、GTFに出場している選手と一緒に練習をしたら気持ちも入るものです。
ドサ回り的な地道な営業ではありますが、コツコツと積み上げると効果的ですし、一度練習すると親近感も出るので意外と効果はあるはずです。
ネット全盛の時代に逆を行くような方法ですが、リアルな競技だからこそ出来る強みでもあります。(自粛期間中なので大々的にはやりにくいですが、、、)
とはいえ、私の当たらない仮説よりも身近にいるエンジョイ勢の生の声を直接聞いてみてほしいですね。
③BJJやってないけど格闘技見るのが好きな人
次に③の柔術やってないけど格闘技を見るのが好きな人、具体的にはRIZINとかUFCを楽しんで見ている人です。
この層を取り込むには、MMA選手の力を借りるのが手っ取り早い気がしています。
それこそ今、一番勢いのある朝倉未来選手が出場したらインパクトは大きいです。
しかし、当然お金はかかりますし、無い袖は振れません。
また、呼べたとしても一時的にお客さんが来るだけで終わってしまっては費用対効果としては最悪です。
無理して有名な選手に大金を払って呼ぶのであれば、現時点ではこのセグメントは優先順位を落としてもいいような気もします。
④BJJやってない、格闘技も見てない人
柔術でも格闘技でもカスッていない人は思い切って捨てます。
この層を掘り起こそうとするのであれば、①と②の開拓に力を使ったほうがリターンも早く返ってくるでしょう。
世の中の全員に好かれる必要はないのです。
あえて言えば、④から②に行く人を増やすのはBJJ道場や格闘技道場に頑張ってもらい、④から③に行く人を増やすのはRIZINとかONEとかUFCといったMMAの団体に頑張ってもらいましょう。
施策ごとの優先順位をつける
セグメントごとに打ち手を見てきましたが、優先順位をまとめるとこんな感じです。
優先順位:高 ①ガチ勢向け施策
まずは今、支持してくれている既に課金しているガチ層が喜ぶものは何なのかを考え抜いて、それを提供する。
ここの1,000人は毎回確実に抑えることが出来たらそれだけでもかなり安定しますよね(PPV2,000円×1,000人としたら200万円!)。
優先順位:高〜中 ②エンジョイ勢向け施策
次に、エンジョイ層が興味を持ってくれるような地道な活動をしましょう。
エンジョイ勢は29,000人ぐらいの厚みがあるので3-5年の時間をかけてコツコツと積み上げていくイメージです。
優先順位:中〜低 ③MMAのファン向け施策
ガチ勢とエンジョイ勢によってある程度の安定基盤が出来たら、無理のない範囲で著名人の力を借りることをオプションに入れてファンを獲得する動きをしてもいいでしょう。
著名人頼みになると後がツラいので、③よりもまずは①・②の柔術愛好家向けの施策を優先で進めてほしいです。
もちろん、途中で大きなスポンサーがついて、スポンサーの意向で方針転換する可能性はありますし、そっちの方がもっと良い可能性もあります。
しかし、私のような既に課金しているガチ層としては、まずは柔術を実際にやっていてグラップリングに興味がある人達に向けた施策を優先して打ってもらいたいですね。
みんな「こうすれば伸びるのに」って思ってらっしゃると思います
しかし運営側にしか見えない問題も多く大抵の案は「当然思い付いてはいるけど出来ない理由がある」のです…
このツイートではそれを理解してくださってるとも感じ取れ、嬉しいです
僕は微力ですが今できる事をコツコツやります! https://t.co/kU68Iyw25n
— 上田貴央 (@takao_ueda) July 27, 2020
↑試行錯誤をしながらいいものを作ろうとしているのが伝わってきます。
まとめ:アイデアはあれど出来ることは限られている
以上ですが、私が勝手に思ったことをつらつらと書いてみました。
GTF運営側にもいろんなアイデアは届いていると思いますが、全てに対応することは当然出来ません。
限られた人的、金銭的リソースの中で良い大会を運営するにはコスパの高い施策を厳選して徐々に進めていくしかないでしょう。
だからこそ、フワついた施策ではなく、お金を払ってくれるガチ勢やエンジョイ勢と向き合っていつか来るブレイクの日の為にコツコツと出来ることを積み上げてもらいたいですね。
以上「GTF4を見てグラップリングに有料課金する人をどうやって増やすか考えた話」でした。
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フリースタイルダンジョンというラップバトルの番組のルールをヒントにして、グラップリングダンジョンというイベントを妄想しました。AbemaTVあたりでやってほしい。