【柔術で頭がよくなる】トップ選手に学ぶ頭の使い方

こんにちは、taikiです。

先日、芝本先生のセミナーに参加してきました。

驚くような技の数々で、トップ選手の技術を学んでいることを実感しました。

↑セミナー内容はこちら。

セミナーの最後に質疑応答コーナーがあり、私は、以前芝本先生とスパーリングした時にやられた技について質問しました。

その時の芝本先生の回答がとても示唆に富んでいました。

今回はセミナー本体ではなく、質疑応答コーナーでのやり取りを紹介しつつ、トップ選手の思考方法について考えてみたいと思います。

個別の技ごとに対応を覚えているわけではない

セミナーの最後に質疑応答コーナーがあり、「セミナー内容に限らず何でも可」とのことでしたので、私は以前、芝本先生とのスパーリングでやられてよくわからなかったことについて聞きました。

taiki
以前、芝本先生とスパーリングした際に、デラエックスを作ったのですが、突然ハズされて気がついたらパスガードされたことがありました。

どうやってガードをハズしてパスガードまでいったのか、まったくわからなかったのでどうやったのか教えてほしいです。

デラエックスガード

当然、芝本先生が覚えているはずもなく、私がガードを作って「こんなシチュエーションで、こんなことが起きた」と再現します。

芝本先生

ここから、デラエックスをハズしてパスガードした??

そうなったらスバラシイですねぇ(笑)

この時点でわかることは、「デラエックスが来たらこうやって対処する」という具体的な対策を持っているわけじゃないということです(しかし、対策はされる)。

そして、次の会話で何を考えて、どうしているかがわかります。

芝本先生
まずは身体のどこが自由に動くかを考えます。

この場合だと奥足がデラエックスで捉えられていますが、前足は動きます。

動かせる前足を先に抜くことから考えます。前足をこんな感じで抜くとあとは、奥足のディープデラが入っているだけなので、○○○○をすればハズせます。

わかりました??

技のハズし方じゃないですよ(笑)。

注目してほしいのは、芝本先生の頭の使い方です。

デラエックスうんぬんではなく、今、自分の身体でどこが動くかを考えてそこを起点に技を解除していこうと瞬時に考えたことです。

具体的な解決策をあてるのではなく、

「今、身体のどこが制御されていて、どこが制御されていないのか」

具体的な状況を抽象化して本質を抜き出した上で、再度、具体的な解決策を考え出しています。

いきなり「抽象化」と言われてもよくわからないでしょうから、この部分を深堀りしてみましょう。

柔術で学ぶ抽象化思考

芝本先生の思考を図解して追ってみます。

タテ軸に思考の抽象度、ヨコ軸を抽象化と具体化のプロセスに分けます。

まずは、具体的な状況に「デラエックスを作られた」状況にいます。

この状況に対して今起きていることを抽象化して本質だけを抜き出して解釈すると「後ろ足はコントロールされているけど、前足は自由」となります。

抽象化して本質を抜き出せると「だったら自由が効く前足を先に解除しよう」と具体的な対策に再変換されます。

具体→抽象→具体といった思考の上下運動ですね。

このように考えたうえで、アクションしていたことが質疑応答の中で理解できました。

☆☆☆

仮に、抽象化プロセスを通らなかったらどうなっていたでしょうか。

抽象化を経由せずに、具体的な事象から具体的な解決策を見つけて行動できるのは、具体的に解決策を知っている場合です。

いわゆる「こう来たら、こう対応する」みたいなパターン化されている場合ですね。

誰かに教えてもらったパターンをいくつも覚えることによって幅広く対応できるようにはなります。しかし、未知のガードに遭遇した場合は、本質が何なのかわからないため、表面的な問題解決しか出来ません。

根本的な問題解決をするには思考の上下運動をして抽象化した上で、問題の本質を突き止めてそこからアプローチする必要が出てきます。

つまり、物事を抽象化して本質だけを抜き出して、具体的な対策を捻り出す「具体→抽象→具体」の思考プロセスこそがトップ選手の本質を捉える思考力の正体なのではないでしょうか。

芝本先生も説明の中でよく「技のコンセプト」という言葉をよく使います。抽象的な概念として物事の本質を把握していることを暗に意味していますね。

芝本先生に直接「こう考えてますよね?」と確認したわけではありませんが、質疑応答を通じてどうやって頭を使っているかを垣間見た気がしました。

まとめ:物事の本質を捉える思考を身につけよう


「言われたことをそのまま実行することしかできずに応用が利かない」「一度、ルールが決まるとそれを絶対的なものと信じ込んで、まったく疑わない」といった行政機関のサービスのように融通の利かない事例を見たことがある方、たくさんいらっしゃると思います。

逆に、「売上が足りないので必死で営業がんばる」とか「力が弱いから徹底的に筋トレして強化する」といった抽象的なフワッとした目標を掲げている人や組織を見たことがある方もたくさんいらっしゃると思います。

具体的な物事しか見えていないと前者のように表面的な問題解決になり、具体的に掘り下げないと後者のような実態の伴わない空論に陥ります。

根本的な問題解決には、具体的な事例を抽象化して本質を抜き出し、再び具体的な対策を捻り出すといった「具体→抽象→具体」思考が必要不可欠です。

芝本先生に限らずトップ選手は、具体と抽象の間を何度も上下運動して、本質を突き止めて、根本的な問題解決を瞬時の判断で行っているのでしょう。

セミナーでのちょっとしたやり取りでしたが、最前線で活躍する人の頭の動かし方を実感することが出来ました。

やはりセミナーのような場で直接やり取りすることによって得られる情報は大きいですね。

ぜひ、皆さんもセミナーに参加した際には、先生方がどのように物事を考えているのかという視点で質問をしてみてください。きっと得られるものがあるはずです。

以上「【柔術で頭がよくなる】トップ選手に学ぶ頭の使い方」でした。

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参考文献

抽象化思考を学ぶ上ではこの本おすすめです。

最近、話題になりました「メモの魔力」も抽象化についての本です。この本の中でも先に紹介した本について触れています。どちらかお好きな方をどうぞ。

そして、本すら読むのがめんどくさいという方の為の動画がこちら。まこなり社長が抽象化について語ってくれています。この動画を見て興味を持ったらぜひ本もじっくり読んでみてくださいね。

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