こんにちは、taikiです。
先日、シュラプネル柔術のブログで退会率に関するとても面白い記事がありました。
自分の道場の退会率なんて今だかつて公開した道場あるのかな(笑)https://t.co/A9VHiBq7SH
— 金古一朗 (@ichirokaneko) September 12, 2019
まず、このような貴重なデータを開示してくれた金古先生に感謝です。ここまでやってくれたからには、この貴重なデータをわかりやすくコネクリ回して、柔術界全体に役立つような情報に加工してこそ三角絞め研究所ですよね?(勝手な使命感)
今回は、退会率を下げて多くの人に柔術を継続してもらうためのインセンティブの科学について考えてみたいと思います。
スポーツジムと柔術道場の退会率のギャップはどれぐらいあるのか
シュラプネル柔術のブログによると1年以内の退会率は21%とのことです。即ち、100人入会したら、79人は1年後も柔術をやっている訳です。
79%の継続率ってなんとなく凄そうな気がしませんか?
この数値が本当にスゴイのか確認するために、一般のスポーツジムの1年以内退会率と比べてみましょう。
ネット検索でスポーツジムの1年以内退会率が2つほど拾えました。バラツキはありますが、93%と54%という数値でした。
その一方で、シュラプネル柔術は21%という圧倒的な退会率の低さ(≒辞めない)です。他の柔術道場のデータもあった方が信憑性が増すかなぁと思い、トライフォース横浜のエーゲン先生も似たようなことをやっていたので、1年以内退会率の数値を伺った所、15%とのことでした。
試しに現在在籍している会員さんの数を全入会者で割ってみたら(オープンから2年9ヶ月)72%の残存率でした。ウチは割と高めだと思っていたけど、結構高いかもですね。 https://t.co/5LizBOJQZD
— Eigen Ito/伊藤 英元 (@eigen110) September 14, 2019
図解するとこんな感じ。
このギャップすごいですね。
柔術道場の継続率の平均値がどのぐらいなのかはデータがあまりにも少ないのでわかりませんが、スポーツクラブの継続率よりも明らかに高そうです。この理由は何なのでしょうか?
柔術自体が面白いから?
柔術の先生は素敵な人が多いから?
いろいろと考えられる理由はありますが、この理由を読み解くのにとても参考になる論文がありました。
運動習慣改善の為の研究結果が示した結論は仲間の存在だった
ウエストチェスター大学の研究で、スポーツジムに通う習慣をどうやったら定着することが出来るかという論文があります。
この研究では、週1回弱の頻度でスポーツジムに通っている人(≒ジム通いをしたいんだけどイマイチ習慣になってない人)を対象にして、スポーツジム通いを習慣として定着させる為に、3つグループに被験者を分けてそれぞれに各施策を施して3週間経過を見ました。
- グループA:ジムに通うとお金が貰える
- グループB:「他の人はもう3回もジムに通ってますよ」と伝えて競わせる
- グループC:他の人とペアを組ませて一緒にジムに行ってもらう
各グループは「お金」「競争」「協力」の3つ施策ですね。
図解するとこんな感じです。
結果は、ジムに通う頻度はザックリと下記のように変化しました。
- グループA:約2.0倍
- グループB:約2.5倍
- グループC:約3.0倍
どれも頻度は高まりましたが、一番効果が高かったのは「協力」でした。
この研究結果に、柔術道場の退会率の低さの秘密があるような気がしてきませんか?
仲間が自然に出来て、仲良くなってジム通いが楽しくなるって、まさに柔術道場です。柔術ほど会員さん同士が仲良くなれるスポーツジムってあまりないですよね。
仲間の力はお金の力やライバルの煽りなんかよりも全然強力だったわけです。
退会率をあげない為に出来ること
この研究結果(≒科学的根拠)に従うと道場の皆さんと仲良くなって、仲間と感じてもらうことが大事ですね。具体的にどうするか考えていきましょう。
何でもいいから会話をする
新規入会した方は、相当な勇気を持って格闘技道場の門を叩いたことでしょう。
私もそうでした。
そんなアウェイな環境でいきなり自分から積極的に友達を作れるような方ばかりではありません。
テクニックでペアになったら、先輩から必ず一言二言交わしましょう。
また、柔術の面白さに気付いて「柔術最高!」と誰かに伝えたい方は、SNSで柔術愛を振りまくのと同時に道場の後輩白帯達に向けて柔術愛を振りまいてあげると柔術の継続率の向上というリアルな効果が得られます。
テクニックは白帯同士でやってもらう
主に指導する先生方の方針にもよるのですが、柔術のクラスの中でテクニックをペアを組む際に、色帯の方と白帯の方を組むことが多いです。
テクニックを学ぶという観点では、色帯の方とペアを組んだほうがいいでしょう。しかし、柔術を継続という観点では、白帯同士で組んで距離を縮めてもらう方がいいかもしれません。
柔術でも会員さん同士が仲良くなるタイミングは、テクニックのドリルを一緒にやっただったり、スパーリングだったりしますよね。その部分を周辺の人達が気遣って、白帯さん同士が仲良くなるキッカケを積極的に作り込めると継続率はあがるでしょう。
↓こういう関係を築けるといいですよね。
ジム行ったら去年同じ時期に寝技始めた女性会員さんが❣️
一緒にチョークを何種類も打ち込み🥋
ふむ…相変わらず彼女は勢いも力も強ぇっす…激しいっす…いやぁ凄い😵💦
でも私もガードしたり耐えられるようになってた自然とwお互い感触を確認し合ってアドバイスしながら練習できて楽しかったな♫
— Mihö*미호 (@mimijung_km625) September 14, 2019
試合の応援に誘ってみる
道場内の誰かが試合に出る際に、応援に誘ってみるのも自然な会話を生み出すよいキッカケになります。道場で見たことある程度の知っている人でもいざ試合となったら応援することになりますし、それをキッカケに他の方々と一体感も生まれるでしょう。
試合観戦は道場に馴染むには便利ですね。
派手な技をやって楽しんでもらうことを優先する
最近入会された白帯の方が、三角絞めをやりたいと言っていた。格闘技好きで入ってくる人はやりたい技のイメージを持っていたりする。そういう白帯向けに派手で人気のある技を中心に教えて、楽しんでもらうことを重視したら継続率あがったりしないかなと思った。
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) September 26, 2019
入門したてで、格闘技がよくわからない人にとっては、クローズドガードの割り方やニーオンでのコントロールと言われてもよくわからないですよね。それであれば三角絞めのようなわかりやすい技をやってもらって、楽しんでもらうことに重点を置いてみるのがいいかもしれません。基本が大事なのはわかりますが、まずは楽しいと感じてもらえなければその先はないんですから、順番を思い切って変えてみるというのはやってみる価値がありそうです。
追記:白帯限定クラスに出てもらう
読者の方からご意見を頂きました。
柔術には白帯クラスが絶対必要だと思う。白帯の人は、自分は弱いと思い込みやすいし、同じくらいの実力の仲間がいないと辛くて辞めてしまう。白帯専用クラスがあれば、ある程度それが緩和できると思う。いきなり青帯とスパーさせたりするのは絶対に止めたほうがいい、絶望しちまうよ(経験談) https://t.co/WtZGnGoicE
— 食寝鍛 (@kuunerukitaeru) September 20, 2019
白帯限定のクラスがある場合は積極的に参加してもらうのは大変良いです。色帯の人達を気にせず胸を張って参加できますし、近いレベルだからこその親近感が関係性構築のサポートになるでしょう。
入門したての方は白帯クラスに参加して頂き、白帯限定クラスがない道場のオーナーの皆様には白帯限定クラスを開設して頂くと柔術の退会率は下がると思われます。
まとめ:仲間が出来れば習慣は継続する
柔術をはじめた人が青帯になる確率は10%と言われています。
JIUJITSU TIMESによると
青帯になれる白帯は10%ですね😂 pic.twitter.com/moqtx4Ef7j— ◤序の口 ベリンボラ◢◤◢◤◢ (@JonokuchiB) August 30, 2019
この数値を高いと見るか低いと見るかは人それぞれですが、入会したばかりの方々が「柔術楽しい」と思えるような環境を作り込むことによって、この数値をもっとあげることは可能でしょう。
白帯でも道場に慣れてきた方は、積極的に新入会された方に声を掛けましょう。それが相手の為ですし、結果的に自分の継続したい気持ちにも繋がります。
色帯の方もフレンドリーに新入会された方に積極的に会話をしましょう。その会話が柔術の継続に繋がり、昇格する人を増やし、練習仲間が増えることに繋がります。
千里の道も一歩からです。
踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる!!
ありがとーー
研究所からは以上です。