こんにちは、taikiです。
前回の試合でダブルアンダー(両足担ぎ)でパスされてから、ダブルアンダー対策を練習していたら、スパーリングでダブルアンダーを食らいにくくなりました。
今では、ダブルアンダーに来ようとしているのが事前に察知できるようになってきました。
察知できると、自然と対策技が発動します。
このまま練習を続けていくと呼吸をするように自然にできるようになって、「考えなくても身体が勝手に動く」という状況になるのでしょう。
皆さんも得意な技は「考えなくても身体が勝手に動く」状態にあったりしますよね?
今回は、この「考えなくても身体が勝手に動く」という状況について考えてみたいと思います。
知識が習慣になるまでに5つの壁が存在する
「考えなくても身体が勝手に動く」状況は突然できるものではありません。何度も何度も練習を重ねて行く過程で、身体に染み込んで自分の血肉となって刻まれ、意識せずにできるようになります。
「何も知らない」状態から「考えなくても身体が勝手に動く」状態に到達するまでには、「5つの壁」を超える必要があると言われています。
- 知識の壁
- 行動の壁
- 気づきの壁
- 技術の壁
- 習慣の壁
これを図で表すとこんなイメージです。
「考えなくても身体が勝手に動く」は最終形態ですね。
知識の壁
白帯ではじめてダブルアンダーを見たという状態を「知らない」とするなら、最初にダブルアンダーというものを「知る」必要があります。ここが「知識の壁」です。クラスで習ったり、動画を見てぼんやりした知識になります。なんとなく知っている、そんな状態でしょう。
以前、こんなことがありました。
道場の門を叩いてから10年一緒に練習をしてきた仲間に散々やられていたパスガードの名前を今日、はじめて知った。その名はなんと、オーバーアンダー(噛みつき)。何をやられているかを理解するのに10年かかった😭
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) May 13, 2022
知っているようで実は何も知らなかった(涙)
さんざんやっていたはずなのに「知識の壁」すら超えられずにいたようです(その後、猛烈にキャッチアップしました)。
行動の壁/気づきの壁
「知る」ことができたら、次にダブルアンダー対策を「やってみる」フェーズに移行します。ここが「行動の壁」です。もちろん、やってみただけではできるようにはなりません。できる前に「わかる」という状態が訪れます。ここが「気づきの壁」。
この2つの壁は、打ち込みをして、スパーリングで試して失敗して、修正して試行錯誤をすることによって乗り越えます。
技術の壁
試行錯誤を何度も繰り返して、「わかる」が「できる」に達します。この「わかる」と「できる」の間が「技術の壁」。ここのギャップは単純に練習不足でしょう。単純に研鑽が足りない。繰り返すことで感覚を掴んで少しずつチューニングするわけです。
「練習量が足りない、もっと練習しなくては!」と言うのは、「わかる」までいってはじめて意味を持ちます。
練習量による物量作戦は、タイミングを間違えてはいけないということがわかりますね。
そして、このあたりまで来るとスパーリングで使える技になっていることでしょう。
習慣の壁
さらにスパーリングで何度も繰り返して、圧倒的な技術を身につけると何も考えなくても「している」領域に達します。いわゆる身体が勝手に動く状態です。「習慣の壁」ですね。ここまで到達する頃には試合でよく使う技になっているでしょう。
こんなプロセスを経て、身体に動きが定着していきます。そう考えるとクラスで習った技がその日のスパーリングですぐには使えないのは、才能がないからではなく、段階を踏んでないからということが理解できますね。
ちなみにこのブログを読むような方は、柔術をやらないと気持ち悪い状態になるはずです。柔術自体が「習慣の壁」を突破して、身体に定着しているとも考えられます。呼吸をするように道場に通っていたらそれはもはや最終形態!
今、自分がどこにいるのかがわかれば習得速度はあがる
スパーリングをしていて、「何をされているのかわからないけどやられた」のと「来るとわかっていてもやられた」では、現在地が大きく異なります。
前者であれば「知識の壁」の前にいて、後者であれば「技術の壁」の前にいるのでしょう。
ディフェンスやカウンターは特にこの傾向が強いのではないでしょうか。練習や試合でやられた動画を何度も見直して、自分の現在位置を理解し、それに沿った練習をすることの大切さがなんとなくわかってきましたね。正しい理解を最初にすることこそが最短で習得することなのでしょう。
まとめ:考え抜いた末に考えなくても動けるようになる
「身体が勝手に動く」とはどういうことなのかをブレイクダウンして考えてきました。考えることをやりきった最終段階が「考えない」であることがおわかり頂けましたでしょうか。
もちろん、こんなことを考えずに感覚ですべての壁を突破する天才は存在するでしょう。そういう方は少数派でしょうから、私のような凡人は一つずつ壁を突破して行くしかありません。
少なくとも今、どのあたりにいて、あとどれぐらい壁が残っているのかがわかれば視界は広がります。
ぜひ、5つの壁と自分の現在地を見比べながら、考えなくてもできる状態をめざしましょう。
以上「柔術の技が考えなくてもできるようになる5つの壁の話」でした。
参考文献
サッカーを通じて頭が良くなる漫画『アオアシ』が今回の記事の元ネタです。
とっても面白いマンガなので、ぜひ読んでみてください。