澤田伸大選手のノーギセミナーが教え方・伝え方の点で新境地を切り開いている話

こんにちは、taikiです。

先日、NOGI世界王者である澤田選手のセミナーに参加しました。

セミナーの内容はNOGIとGIの違いといった基本的な考え方からマトリックス、ヒールフックの紹介といった最先端のテクニックまでが詰まった内容でした。

その中でも澤田選手の考え方がキレイな論理構造(ピラミッドストラクチャー)になっていて、頭にスッと入ってきたことが印象的でしたので、紹介したいと思います。

(澤田選手が)柔術における新境地を開拓していますので、ぜひ参考にしてみてください。

柔術テクニックの教え方は3パターンある

私はこれまでに受けたクラスやセミナーでいろんな先生の指導を受けてきましたが、教え方という点では大きく3パターンありました。

パターン1:ロジックツリー型

1つ目はあるポジションを起点に複数の展開パターンを並べる「ロジックツリー」タイプです。

ロジックツリーとは
モレなくダブりなく(MECE)を意識して上位概念を下位の概念に分解していく際に用いられる思考ツール。

概念図:

ハーフガードであれば、フルガードに戻す場合、スイープする場合、バックを狙う場合といった感じである特定のポジション出発で分岐していきます。

代表的な教材としては、早川先生のブラジリアン柔術教則本でしょう。

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多くの道場がロジックツリー型でテクニックを学んでいるのではないでしょうか。

パターン2:タイムライン型

2つ目はタイムライン型です。手順が多いタイプの技をプロセスごとに分解して、丁寧に伝えていきます。

ベリンボロは手順が多いため、「ダブルガードの状態を作る」、「デラフックを作って相手に帯を持つ」「横回転の動きで回転しながら頭部をモモ裏にねじ込む」みたいな感じで細切れにして説明しますよね。

タイムライン型に関しては、途中から派生してロジックツリー型とのハイブリッド型になることがよくあります。

色帯中心のレベル高めのクラスで、高度なテクニックを紹介する際はタイムライン型で学ぶことが多いでしょう。

パターン3:HUB型

3つ目がHUB型です。セミナー等の特定のテクニックを集中的に学ぶ際に用いられることが多いでしょう。

昨年の澤田選手のダースチョークのセミナーが3/4ネルソンのポジションを起点に前後の入り方と極め方を紹介していて、まさにHUB型のセミナーでした。

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ある特定の技を深堀りしていく際にはHUBポジションの概念が頭にあると練習のロードマップがイメージしやすくなります。

パターン4:ピラミッドストラクチャー型

ここからがこの記事のキモの部分です。

これまでに紹介した3つのパターンで網羅されているかなぁと考えていたのですが、今回の澤田選手のセミナーでまさかの4つ目のパターンが提示されました。

その4つ目はピラミッドストラクチャー型です。

ピラミッドストラクチャーとは
自身が伝えたい主張とその根拠となる事実を図式化する手法。三角形のピラミッドを横に3分割したような形となるため、ピラミッド構造とも呼ばれており、ピラミッドの上位へ向かうにつれ、項目数が抑えられている点に特徴がある。

概念図

ピラミッドストラクチャーとはある主張に対して、その根拠となる理由を並べていく手法です。

今回の澤田選手のセミナーは、澤田選手が参加者に持ち帰って欲しいメッセージ(主張)があり、それを伝えるために「なぜそれが必要なのか」をいろんな角度から説明して、論理的に説得するという流れでした。

その中の一例として、「NOGIとGIの大きな違いはグリップを作ることによって相手をコントロール出来るか否か」というメッセージをピックアップして具体事例として紹介したいと思います。

メッセージ(≒主張)を伝えるために、3つの根拠を説明していました。

  • NOGIでのグリップの脆さ
  • GIではグリップが相手のコントロールに直結するがNOGIはしない
  • NOGI適応に苦労される方の特徴

ピラミッドストラクチャーの図に落とし込むとこんな構造です。

更に細かく一つずつ見ていきましょう。

①NOGIのグリップファイトについて

セミナーはNOGIにおけるもっともシンプルなグリップファイトから始まりました。

持たれた手首を回転させて捻ってグリップを取り返すという動きです。やったことがある方も多いと思います。また、例外としてNOGIでも強いグリップとして2 on 1を習いました。

ここで、NOGIのグリップがいかにモロく、儚いかについて教えてもらいます。

②GIとNOGIのグリップの本質的な違い

NOGIのモロいことが理解出来ると逆になぜGIのグリップは強いのかが理解出来るようになります。

NOGIとGIのグリップ特性の違いを理解する前に、そもそもグリップを作ることによって何をしたいかから理解する必要がありました。

グリップを作ることは手段であって目的ではありません。目的は、相手をコントロールすることです。

GIにおけるグリップは相手をコントロールすることに直結しますが、NOGIにおいては必ずしも直結しません。


だからこそNOGIにおいてはフックを使った相手のコントロールが有効になるので、フックを使ったコントロールを学ぼうという流れになります。

実際に、NOGIでのデラ+アンダーフックからの展開を習いました。

③NOGI適応者の話

そして、スパイダーガードやオープンガードをよく使う人はグリップを使って相手をコントロールするから、それが出来ないNOGIへの適応が大変になる。

一方で、ハーフガードのようにフックを使ってコントロールするタイプの方はNOGI適応がしやすいといった事例を紹介してもらいました。

これに関してはテクニックではなく口頭での説明でしたが、非常に納得感があり、理解が深まりました。

☆☆☆

このような論理的な流れがセミナーの中にあると、澤田選手が伝えたかった「NOGIとGIの違い」もスッと頭に入ってきます。

皆さんは、このように論理構造が綺麗なピラミッドストラクチャーになっているセミナーをご存知でしょうか??

今回のようにコンセプトや思考を重視したセミナー自体が初体験であり、柔術のインストラクションにおける新境地を切り開いている感じがものすごくしました(ちなみに澤田選手としても初めてで不安だったようです)。

まとめ:論理展開が綺麗だと覚えやすい


脈絡のない情報をストレートに記憶することが苦手な方は多いでしょう。

しかし、情報に意味と論理が加わりストーリーが感じられると記憶しやすさ、理解のしやすさはグッとあがります。

今回の澤田選手のセミナーは伝えたいこととそれを説明する論理構成がクリアになっていて、理解しやすく、記憶に刻まれました。

現に、この記事もメモを何も取らなかったにも関わらず、記憶だけでここまで書くことが出来たことがその説明になっている気がします。

もちろん、柔術のテクニックも試行錯誤して積み上げるように、セミナーの構成を固めるまでにああでもないこうでもないと試行錯誤があることは言うまでもありません。

トップ選手たちは、自分たちの独自の論理構成を持っていてそれをセミナーやクラスで提供してくれています。

強い選手達のテクニックに美しさを感じることはあるでしょうが、本当に美しいのはその背後にある論理構成なのかもしれません。

以上「参加したノーギセミナーの教え方・伝え方が斬新だった話」でした。

追伸:
この記事を読んで澤田選手のロジカル柔術セミナーに興味を持った方は直接、澤田選手に問い合わせをしてみてください。セミナーは広く受け付けているそうです!

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オマケ1

強い選手は得意なパターンを持っていることについて書いた記事です。今回のパターン3HUB型の話ですね。

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オマケ2:論理関連の書籍

論理に興味を持った方は、この本から始めてみてください。

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論理構成がめちゃくちゃ綺麗な漫画といえば、HUNTER×HUNTERです。
ロジカルシンキングセミナーにお金を払うぐらいなら、これを読み込んだほうが得るものは多いハズ。

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