こんにちは、taikiです。
柔術大好きな人達が集まるとこんな会話になったことありませんか。
あるあるですよね。
誰もが夢を見る「柔術だけをやっている生活」ですが、これを本当にやったら柔術は強くなるのでしょうか?
今回は、柔術だけやっていたら本当に強くなるのかについて考えてみたいと思います。
トップ選手は逆のことを言っている
「柔術だけをやっていたら本当に強くなるのか」を検証するにあたって、実際に強い人はこの事実に対してどのように思っているのでしょうか。
トップ選手の発言に注目してみましょう。
全日本マスターで試合に出たりしてる会員さんのSNSの投稿を見ると、本当にはじめるのに遅いことなんてないなって思う。僕は子供の頃からやっとけばよかったなんて全く思わない。柔術やってなかったから経験出来たことがいっぱいあると思う。
— Tomoyuki Hashimoto (@tomohashi_) February 26, 2018
橋本選手は柔術をやってなかったからこそ経験できたことがあると言っています。
青木真也選手もゴンカクの対談の中でこんなことを語っています。
青木
僕は哲学者でも、格闘家でも、基本的に言っている内容はみんな一緒だと思う。僕は格闘技を通じて哲学というか生き方を学んでいるだけ。要は学ぶ場所が机の上か、リングの上かの差。当然、言い回しとかの違いはあるけれど。だから、「格闘技しか知らない奴は、格闘技のことを何も知らない」と、最近よく言うんです。結局、格闘技だろうと会社の仕事だろうと(学べることは)全部一緒だと思うから、格闘技をやる人間は他のことからも学ばないとね。戸谷
格闘技以外の世界と繋がることは、格闘技における強さにも繋がる?青木
強さになる。それは間違いない。
2人とも「格闘技以外のことが格闘技に活きてくる!」と仰っているように聞こえます。
ゴルフだってそうらしい
企業経営者に特化したゴルフレッスンとコンサルティングサービスというちょっと変わったビジネスをしているプロゴルファーの稲津暢さんはこちらの記事の中で、こんなことを言っています。
その子は朝から晩までずっとゴルフしかしていなくて、周りの大人は「勉強もさせたほうがいいんじゃないか」と言っていたのですが、ご両親の方針でゴルフ漬けの生活を送っていました。その子は結局、PGAツアーを出たり入ったりして、伸び悩んでいます。
一方、PGAツアーで優勝を手にする選手は賢い人間が多いなと感じます。米国の教育制度は、高校までは自由に遊ばせますが、大学に入るとキュッと締めつけます。ゴルフがいくら上手でも、単位をちゃんと取らないと試合には絶対に出してもらえないし、単位を取るのもすごく厳しい試験があります。
そのような環境で育っている選手は、航空力学や流体力学などゴルフボールが遠くまで飛ぶ仕組みも高い水準で理解しています。どちらがプロになってから伸びているかは言うまでもありません。
ゴルフの世界でもゴルフ漬け人よりも、ゴルフ以外のことも学んでいる人の方が上達するとのことです。
思考の多様性・柔軟性こそが強さをもたらすんじゃないだろうか
橋本選手、青木選手、稲津さんといった3人の意見をピックアップしましたが、ここから導き出せる仮説はこちら。
仮説:柔術だけをやっていても中長期的には強くならない
結局、単純に柔術に投下した時間に伴って柔術がストレートに強くなるわけじゃなくて、何か考えるキッカケがあって成長の速度が変わるということでしょう。柔術以外の出来事を柔術に応用することによって、柔術が活きてくるみたいな感じでしょうか。
これを図解して説明してみましょう。
何も考えずに練習しているとある程度行ったところで飽和してきます。研究者や技術者がよく使う「サチる」ってやつですね。
サチる
もうこれ以上は伸びない飽和状態に達すること。saturation
例文:Cell Phone Market Reaches Saturation(携帯電話市場は飽和状態に達した)
この現象について総合格闘家のSARAMI選手がツイートから選手自身も実感していることが読み取れます。
ただやってれば強くなる時期はとっくに過ぎてて。試行錯誤しながら考えながらやって、最近は体も面白いくらい使えるようになってきて本当に楽しい🤡🔪💎
— SARAMI/高野 聡美 (@saramipiy_3103) July 24, 2019
「ただやっていれば強くなる時期」というのが最初の立ち上がりのこの期間なんでしょう。
試行錯誤しながら考えて、思考や概念を変えて、一旦リセットするとまた違った成長曲線が描かれるのでしょう。アンラーン(unlearn)ですね。
アンラーン/ Unlearn
「学んだこと、身に付いていること」を「いったんリセットする」こと。
いつものパターンを捨てること。学ばないことではない。
柔術だけをやっていても視野を広く持って、頭を柔らかくして、いろんな価値観に触れていると何度もリフレッシュ出来るので、それはそれで強くなります。
つまり、なんとなくやるんじゃなくて考えながらやろうということです。
ルーカス・レプリの練習の話
ワールドマスターの試合会場でルーカス・レプリ道場で修行中のホリさんに聞いた話です。
今日聞いた話で印象的だったのはレプリ道場で1番練習しているのはレプリって話。
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) August 24, 2019
練習量もさることながら、レスリングの強い人(全米チャンピオンクラス?)を全国から招いて練習しているそうです。
いろんなタイプの人と練習することによって強制アンラーン状態を作り出し、それを何度も繰り返して試行錯誤しているからこそのルーカス・レプリの強さなのではないでしょうか。
成長曲線で言えば常に③。
そこに凄まじい練習量が投下されたら最強の戦士が出来るのは必然ですね。
まとめ:柔術だけやっていてもしっかり考えないと強くならない
なんとなく練習をしているだけでは、強さに限界は来てしまいます。これに関しては科学的な根拠というよりもトップ選手の発言や、他競技で活躍している人の発言を総合してこうなんじゃないかという仮説に過ぎません。
しかし、柔術が知的格闘技と言われるからには考える要素は必要不可欠です。
私の仮説が正しいかどうかは判りませんが、考えれば考えるほど成長曲線に変化が起きる(だから考える)というサイクルを楽しむことができれば、あとは時間さえ投下すれば勝手に強くなるのではないでしょうか。
今日も明日もたくさん考えて柔術をやろう。
以上、「柔術だけやっていたら柔術は強くなるのか」でした。