格闘家の仕事をブレイクダウンしてアウトソースする話

こんにちは、taikiです。

突然ですが、皆さんは苦手なこともやってみるタイプですか?それとも苦手なことは得意な人にお願いして自分が好きなことをやるタイプですか?
私は後者ですが、苦手なことを得意な人に任せることが出来ずに自分で抱え込んでしまう方は結構いらっしゃる気がします。

実はこのテーマは青木選手のnoteにインスパイアされました。そのことをツイートした所、反響もあり、読みたいという声も頂きましたので取り上げたいと思います。

格闘家の仕事を分解して考えてみる

格闘家の仕事ってなんですかね。

練習して強くなることはもちろん、試合で勝つもそうだし、スポンサーと交渉してサポートしてもらうこともSNSで情報を発信して自分のことをよく知ってもらうこともそうでしょう。格闘家といっても戦うだけが仕事ではありません。

そんな格闘家の仕事をプロセスを分けて見ていきましょう。

バリューチェーンで考える格闘家のお仕事

格闘家の仕事は主に6つの工程に分けられます。
三角絞め研究所でたまに出てくるバリューチェーンを使って解説しましょう。

バリュー・チェーン
企業活動における業務の流れを機能単位に分割してとらえ、業務の効率化や競争力強化を目指す経営手法。例えばメーカーであれば、技術開発、資材調達、製造、販売、出荷物流、代金回収などの業務に分割できる。分割した業務機能を精査することで、どの業務に注力し、どこを外注するかといった経営判断がしやすくなる。
出所:コトバンク

格闘家の仕事は主にこの6つです。

  • 研究開発(練習)
  • 認知活動
  • 営業
  • 宣伝活動
  • 試合・興行
  • アフターフォロー

練習して、自分の事を知ってもらって、試合を組んでもらって、試合の宣伝をしてお客さんを呼んでもらって、試合に挑んで、試合後に関係者をフォローする。図解するとこんな流れです。

柔術の場合は興行ではないので、練習と試合がメインでそれ以外は人によって重要度は変わってくることでしょう。

この6つのプロセスは、格闘技に得意なポジション、苦手なポジションがあるように、人によって得意・不得意があります。格闘技以上にSNSで日常の風景を面白おかしく言語化出来る人もいると思えば、スポンサーに可愛がってもらうことが得意な方もいらっしゃるでしょう。

格闘技が強いだけではカネは稼げない?

6つあるプロセスの中で、格闘技の強さ求められるのは研究開発(練習)と試合の2つだけです。残りの4つは格闘技の強さからは少し離れた能力になります。

認知活動や宣伝活動や試合後のアフターフォローは格闘技そのものからは少し距離が出てきます。

さらにプロモーターとの契約交渉やスポンサーとのスポンサードの交渉に至っては、格闘技そのものよりも相手が望んでいることを理解して、落とし所を見つけたり、話をまとめたりといったビジネス的な能力になってきます。

つまり、格闘技とは異なる能力です。

図解するとこんな感じに3つのグループに分類できます。

格闘家の仕事を分解すると、実は格闘技じゃない要素がこんなにも含まれています。もちろん、格闘家としての根源的な価値が強さにあることは言うまでもないのですが、仕事として考えるとその強さは一部を構成する要素でしかありません。

強いだけでは不完全なわけです。

格闘家の為のアウトソースのススメ

格闘家が強くなることに専念する為に苦手なことを得意な人に任せるのがアウトソース(外部委託)です。

アウトソース(英語: outsourcing、日本語:外部委託)
従来は組織内部で行っていた、もしくは新規に必要なビジネスプロセスについて、それを独立した外部組織(子会社や協力会社、業務請負・人材派遣会社)から労働サービスとして購入する契約である。

自分がやるべきことに絞る


格闘家としての商品力にはいろんな要素がありますが、もっとも大事でありベースにあるものが強さです。

その強さを磨くために格闘家は時間を使わなくてはなりません。強くなることに専念するために、格闘家として必要だけど強さからは少し離れた部分を得意な人にアウトソース(外部委託)することは有効な手段でしょう。

なんでも自分で抱え込むのではなく、本質から少し離れた部分は得意な人に任せて、自分にしか出来ないことに専念する。具体的には、SNSでの発信をプロに任せる、スポンサーとの交渉やプロモーターとの交渉をビジネスが得意な人に任せるといったことです。芸能人で、SNSの運用をマネージャーがやっていて、こんなことをツイートしておいてという指示だけするという事例もいくらでもあります。

人にお願い出来ることはお願いして、自分しか出来ないことに時間を投下することによって、より高い成果を出そうというわけです。

人によっては無料でやってくれる人もいれば、高額な報酬を払わないとやってくれないプロフェッショナルな方もいらっしゃるでしょう。自分のステージに応じてアウトソース(外部委託)先は使い分けることが出来ます。

もっとも貴重な自分の現役時代の時間を買うと考えれば報酬を支払ってでもアウトソースすることは釣り合う行為ではないでしょうか。

アウトソースといっても丸投げは危険

ただ、ここで注意してほしいことが自分が何も知らない状態で丸投げしちゃうのは危険だってことです。

何も知らない状態で外注すると搾取されてしまうリスクはあります。その領域のプロにならなくてもいいのですが、最低限の知識と合理的に考えて判断できる思考力は持っていないと危険です。その上で人に任せてこそアウトソースの効果があるというものです。

とは言っても結局は自分がどうしたいのかが大事


ここまでは格闘家は格闘技に専念して、格闘技以外の部分は得意な人の力を借りようという話をしてきました。

しかし、自分が格闘技を通じてどういう成果を得たいのかという土台の部分が安定していないとアウトソースしても何も始まりません。特に柔術のようなファイトマネーが出ないアマチュアスポーツの世界においてはその大切さがより際立ってきます。

先日の情熱大陸で湯浅選手が取り上げられました。SNSを見ていると世界王者の湯浅選手に金銭面を支援するスポンサーがいないことが可哀想だといった意見が多かったように感じられました。

格闘技(①と⑤)で成果を出せていたら③のスポンサー営業の部分はあまりやらなくても自然とついてくるんじゃないかといった考えなのでしょう。

残念ながらムンジアルで入賞したからと言って大型のスポンサーが勝手につくといったことはないでしょう。とは言え、世界一という称号を使って③のスポンサー営業を積極的に行って、スポンサーを募ることは可能だと思います。

ただし、選手自身がスポンサーからの支援に意味を見出して積極的に力をいれることを選択してはじめて、その手のビジネスのプロの力も生きて来ます。逆に言えば本人がそこまで望んでいない状態では何も起きないのです。

湯浅選手に関して言えば、「本人がスポンサー営業に関してはあまり積極的に考えていない」のか「積極的に力を入れたいけどあまり時間が避けていない」のか「積極的に力を入れたいけど誰にアウトソースすればいいかわかっていない」のか、そのいずれでもないのかはわかりません。

あまり積極的に考えずに、柔術を追求することを最優先したいのであれば本人の希望通りなのでそれでいいでしょう。逆に希望しているのであれば、誰かの力を借りたほうがいかもしれません。

要は選手本人の意向がもっとも重要だということです。

一方的に外部の人がスポンサーからお金が出なくて可哀想っていうのは考えとしては浅いわけです。こればっかりは本人に聞いてみないとわかりませんね。本人の希望がこれであったら、外部の人間が何かを言ったところで、飲み屋のオジサンの戯言程度の影響力しかもちません。(湯浅選手に経済的にも成功してほしいという柔術家の皆さんの温かい気持ちはわかっています。)

まとめ:自分がどうしたいかを考え、そのために誰の力を借りるのがベストか考えよう


格闘技をビジネスとして捉える際には、格闘技を通じて自分はどうなりたいのかを明確にすることが大事なのではないでしょうか。

お金を稼ぐことよりも自分が追求したいことを突き詰めることの優先順位が高いのであれば練習と試合(①と⑤)がメインになりますし、お金を稼ぎたいのであれば、②、③、④、⑥も大切にしないと稼げるようにはなりません。

まずは、自分がどうしたいのかを定めましょう。

それが定まれば自然と優先順位が浮き彫りになってきます。それによって、自分がやることとプロに任せることが明確になってくることでしょう。自分の軸をしっかり持った上で、自分が出来ることとアウトソースして得意な人にお願いすることの線引きが出来ると成功確率が高まりますよ。

格闘家の皆様は、貴重な自分の時間を効率よく使って、よい競技人生生活をお過ごしください!

以上「格闘家バリューチェーンとアウトソースのススメ」でした。

オマケ

スポンサーに関してはX氏の話がとっても参考になります。

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追記:

堀口選手は、外から見ているとアウトソースを上手に活用して、練習に集中できる環境を手に入れているように見えますね。

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