こんにちは、taikiです。
皆さん、柔術着はどこのブランドを着ていますか?
VHTS? Shoyoroll?それともVitamins & Minerals?
柔術着ブランドは個性豊かで何かと目移りしちゃいますよね。本日は新興柔術着メーカー「énóis」の中の人、猪股さんをお招きしてお話を聞いてみたいと思います。
猪股さん自身は柔術着の輸入販売をやっているだけでなく、いろんなビジネスをしつつ、ヨーロピアン選手権やワールドマスター、ムンジアルに参戦している謎のオジサマでもあります。今回は「énóis」の展開と海外遠征を積極的に行っている猪股選手に話を聞いて来ました。
柔術着メーカーénóisとは
taiki
皆さん、こんにちは。
今日は新興柔術着メーカーのénóis Japanの中の人をお呼びして話を聞いてみたいと思います。
よろしくお願いします。
énóisの中の人です。
こちらこそよろしくお願いします。
énóisの中の人
énóis基本情報
本社:アメリカ、ロサンゼルス
代表:David Talfer
事業内容:アパレル製造販売業
通販サイト:énóis Japan
SNS:Instagram、Facebook
énóisの理念
For The Next Generation
私たちのミッションは人種、宗教、全てのジェンダーおよび社会的、経済的地位にかかわらず、世界中の皆さまに柔術を届けること。
すべての商品でBuy One Give Oneキャンペーンをしており、お客様が着物、またはラッシュガードの購入されると、着物またはラッシュガードをチャリティで次世代を担う子ども達に寄付させて頂いております。(Webサイトより抜粋)
豆知識:
é nóis(エノイス)
ポルトガル語のスラングで「俺らの番だ」「さすが俺ら」などの意味があり、「行くぞ」とかの掛け声にも使われます。
出所:Yahoo知恵袋
énóisってどんなブランド
taiki
énóisはそもそもどんなブランドなのでしょうか?
社長のDavid Telferがデザイナーも兼ねているアメリカ西海岸に本社があるアパレルメーカーです。
日本ではまだあまり流通していませんが、これからアジア地域での販売と選手のサポートを強化していこうと考えています。
énóisの中の人
taiki
数年後には、VHTSやHyperflyのような柔術着ブランドになる可能性を秘めているということですね。
ブランドとしての特徴は何かあるのでしょうか?
一番の特徴は道着そのものというよりも、会社として寄付をしていることではないでしょうか。
Buy One Give Oneと称して、1着売れるごとに1着恵まれない子供たちに柔術着やラッシュガードをプレゼントしています。
この活動に共感してくれる人に支えられています。
énóisの中の人
taiki
柔術着を寄付して、柔術の競技人口を増やすという好循環を自ら作りだそうとしているのですね。
はい。
私も最初は道着買うと寄付も出来るっていいなと思って、一般消費者として個人輸入で購入するようになりました。
個人輸入するとどうしても送料が高くつくので、「数着購入するから送料もう少し安くしてくれないか」といったやり取りをしていてたら日本の販売代理店やらないかといった話に発展してしまいました。
画像:ロゴとシンプルなデザインが特徴
énóisの中の人
taiki
お客さんから輸入販売代理店へ!?まさかの展開ですね。
アメリカに試合で遠征した際に、社長のDavidのジムに行って、本人にあって、Davidの家に招待されて食事して、仲良くなっちゃって、輸入販売代理店をやることになりました。
énóisの中の人
taiki
そんなことがあるんですね(笑)
énóisってどこで買えるの?
それで2018年夏頃にénóisの販売サイトを立ち上げました。残念なことに誰もサイト経由で買ってくれない(涙)
基本は私が手売りしています。今はそれ程販売量がある訳でもないですし、アメリカや工場がある東南アジアは日本人からみるといい加減な部分もあるので、私が検品出来て販売に責任を持てる範囲で運営出来ているから逆にそれはそれでいいかなとも思っています。
あと、私が直接販売することによって、実際に顧客接点を私自身が持てるのは大きいですね。
énóisの中の人
taiki
今は手売りが中心でも今後は販売拡大していく予定なんですよね?
販売拡大したいとは考えています。
国内でも小売店舗や通販サイトを通じての販売も考えました。しかし、いざやろうとした際に私のénóis愛が強すぎて、私の目の届かない所で売られるよりも自分で販売したいなぁって思ってしまいました。
énóisのアメリカもブラジルも手売りと自社サイトのみで販売しているので、手売りと自社サイトで丁寧に販売するのもénóisのブランドとしてのカラーなのかなぁと(笑)
énóisの中の人
taiki
販売を拡大することを目的とせずに、直販のみで丁寧に販売するというのはそれはそれでありだと思います。アパレルメーカーとして大きくなることだけが全てじゃないですからね。
国内では、BJJ Girlsさんが一部取り扱いをしていますが、それ以外は直販でしか購入出来ません。
énóis自体が小さな会社ですし、私もオーナーのDavidも他の仕事がある中で副業的にやっています。
とは言え、毎年どうやってénóisを大きくしようかといった話はDavidとはしています(笑)
énóisの中の人
énóisがサポートしたい選手像
taiki
énóisでは選手のサポートも行っているようですが、誰に対してどんなサポートを行っているのですか?
taiki
どんなサポートをしているのですか?
基本はénóis商品の提供です。
énóisがアメリカの会社ということもあり、海外思考の方にはVISAの発給支援、ロス周辺であれば住環境のサポートは十分検討出来ます。もちろん本国でも名前が知られているレベルは求められます。
画像:クインテットにもénóisチーム出場
énóisの中の人
taiki
さすがに誰でもという訳にはいきませんが、嶋田選手はénóisからこのあたりのサポートを受けてニューヨークに移住することになったのですね。
énóisではどんな選手をサポートしたいといった指針は何かあるのでしょうか。
単純に強いからサポートするっていうのは違うかなぁって思っています。
選手としての強さは大事ですが、それよりもパーソナリティーを重要視したいです。
具体的には人から好かれている人です。
嶋田選手は付き合いのある人はご存知でしょうが、とにかく性格が良くて、礼儀正しくて、柔術にまっすぐで、オジサンからみたら応援したくなる若者なんですよね。
énóisの中の人
taiki
ああ、それ、わかります!オジサンあるあるです(笑)
若い人と一緒にご飯食べに行って、美味しそうにモリモリ食べているのを見ているだけで「好きなだけ食べていいよ〜」って言いたくなるアノ現象ですね。
特に嶋田選手は、私も一緒に練習させて頂いたこともあるので、応援したくなるのは凄くわかります。オジサン殺し(笑)
画像:enoisがサポートする嶋田選手
そうです(笑)
サポートする選手に求めることをまじめに考えると選手自身の発信力に目を奪われがちです。
しかしそれ以上に、多くの人に好かれて応援されている、もしくはアンチがいたとしてもそれを打ち負かすぐらいの何か強いモノがあるかといったパーソナリティーは大事かなぁと思っています。
énóisの中の人
taiki
ビジネスと言っても人と人の関係から始まるので、「この人はいいなぁ」と思わせるパーソナリティーが入り口としては絶対条件なわけですね。
はい。あとは地方の選手もサポート出来ればと考えています。
すべて面倒見るという訳にはいきませんが、物品の提供以外にも都内での練習環境や滞在に関してもサポート出来ると思います。
énóisの中の人
taiki
ちなみに、今サポートしている選手はアダルトカテゴリで活躍する選手ですが、マスター世代の柔術家はどうみているのでしょうか?
マスター世代の選手もサポートさせて頂きたいと思っています。
énóisはbuy one give oneとともにfor next generationも謳っています。
next generationは必ずしも若い人じゃなくてもいいと考えていて、人によって次の代なんていくらでも変わります。
énóisの中の人
taiki
マスター世代でみんなに好かれていて実績もある人は何人か思い浮かぶ人がいます。
マスター世代の選手だとアダルトカテゴリの選手に求めるものと違ってきます。試合の時に着て頂いて、メーカーとしてもそういった世代の方と一緒に歩んでいる感を出せたらそれで十分です。
énóisの中の人
taiki
マスター世代の選手をサポートする話はあまり無いので、ぜひ先陣を切って試して見てください。同時にその効果を検証して、広告効果があったなんて結果が出たら嬉しいですね。
柔術芸人の品川さんもénóisの道着を着ています!品川さんサポート選手ではなく、(気を使って?)普通に購入されたそうです。
今年1発めの柔術。
中学の同級生が
輸入している道着#Énóis#学芸大学swells出稽古#BONSAI柔術#チームHALEO pic.twitter.com/viYlitIr2G— 品川祐 (@shinahiro426) 2019年1月3日
énóisの輸入販売やってる猪股さんって何者?
taiki
ここからはénóisではなく猪股選手としてお話を伺っていきましょう。
猪股です。よろしくお願いします。
猪股選手
taiki
ああ、変わった。
猪股さんの基本情報
帯色:紫帯
年齢:マスター4
階級:フェザー級?
職業:貿易に関する会社を経営
主な戦績
青帯:
2016年 パン選手権 準優勝
2016年 ワールドマスター 準優勝
2017年 ワールドマスター 準優勝
紫帯:
2018年 全日本マスター 階級別準優勝 無差別級3位入賞
2019年 ヨーロッパ選手権 準優勝
普段は何をやっている人なの?
taiki
猪股さんは、個人としてもワールドマスターを筆頭にパンやヨーロピアン、ムンジアルまで参加していますが、普段はどんなことをされているのでしょうか?
海外大会に定期的に参加することは、人によっては狂気の沙汰に見えることでしょう。一体どうなっているんでしょうか(笑)
周りの人からは「あの人は自由人だから」的な感じで見られているようです(笑)
普段は、魚の輸出やLED関連製品の輸入と言った貿易業を行う会社を経営しています。
画像:美味しい魚を海外に輸出しています
猪股選手
taiki
énóisの道着の輸入販売に取り組んでいる理由がわかりました。仕事柄海外とのやり取りや輸出入業務に抵抗が無いわけですね。
その一方で、会社を経営していたら忙しくないのですか?
輸出入業務の忙しさには波があります。
新しい商品を取り扱うとなったら、各国の法令と照らし合わせていろんな調査や調整が発生して忙しくなりますが、取引が軌道に乗ってしまえば比較的落ち着いてきます。
その忙しくない時期にénóisの販売に取り組めないかなとも考えてやってみようと思いました。
猪股選手
taiki
海外遠征も忙しくない時期を縫ってのことなのでしょうか?
買い付けの業務と試合を重ねたり、輸入元や輸出先企業との交渉を兼ねたりしてやりくりしています。
ということになっている(笑)
猪股選手
taiki
自営業あるあるですね(笑)
自営業の裁量権の大きさをうまく使って時間を作り出しているようです。決して、ズルいことしたりサボっているわけではありませんので、皆さん、誤解しないようにしましょう。
柔術の試合にも緩急があるように、仕事も緩急があるので、それをうまく調整して時間を作っています。
なんとなく自由人をやっているわけではありません(笑)
画像:自ら自社商品を着て優勝して宣伝!
猪股選手
柔術を始めてからハマるまで
taiki
そもそも柔術を始めたきっかけは何だったのですか?
以前、台湾に住んでいたのですが、その時に飲食店向けの営業をやっていました。
飲食店は夕方の開店前の数時間しか営業出来なくて午前中は暇だったので、盧文錦老師の詠春拳道場に通っていました。
猪股選手
詠春拳(えいしゅんけん、英:Wing Chun)
広東省を中心に伝承されていた徒手武術を主とする中国武術。少林武術を祖とし、一般的には短橋(腕を短く使い)狭馬(歩幅が狭い)の拳法とされており、200年から300年の歴史があると考えられている。拳術を中心技術として刀術と棍術とを含むが、伝承された型によると、むしろ刀術を基礎として、それを徒手拳術に応用した部分も多く見受けられる。練習に人を象った木の人形(木人樁、もくじんとう、もくじんしょう)を使用する。手技に特徴があり、香港映画や、最近ではハリウッド映画などにもそのアクションの中で詠春拳の手技が見られることが多い。
出所:Wikipedia
taiki
台湾も日本と似たようなスケジュールで道場が運営されているのですね。
勤務形態によって午前中が空く人がいるのは万国共通のようです。
道場に通っていた流れで、帰国後も何か武道をやりたいなぁと思い、近所のパラエストラTBに入会しました。最初はキックもやったりしていましたが、今は柔術ですね。
その後は、皆さんと同じように柔術の面白さにハマって現在に至ります。
猪股選手
どれぐらい海外遠征しているの?
taiki
猪股さんは海外遠征も積極的に行っているようですが、どういった感じで海外遠征に取り組むようになっていったのでしょうか。
パラエストラTBの卯都木選手が卒業旅行でパン選手権に出場して、ニューヨークのマルセロ・ガルシアの道場に行くというので、私もついて行ったのが最初ですね。
当時は、「マルセロ・ガルシア?なにそれ?」みたいな感じでした(笑)
写真:2016年のパン選手権は準優勝
その年はワールドマスターも参加して、帰りにロサンゼルスのénóisのDavidの道場とか出稽古に行っちゃったら楽しくなっちゃいました。そのあたりから海外遠征にハマリ始めました。
猪股選手
taiki
私も海外遠征にハマったのは2016年のワールドマスターからでした。
あの時に3位入賞したらBJJ PLUSさんに名前が載って嬉しかったのを覚えています。その時に、私ともう一人、日本人の青帯の選手の名前があって、それが猪股さんでした。
三角絞め研究所を始めたのもあの体験がキッカケだったから、お互いにターニングポイントですね。
日本の試合と海外の試合ってやはり違いますか?
私は国内と海外の試合を通じて感じたのは、海外の方が移動時間や旅費がかかる分、より真剣度が増すことです。もちろん国内の試合も真剣なのですが、時間を含めた様々な費用を考慮するとどうしても力は入ります。
その状況下では得るものも多いです。
猪股選手
taiki
試合そのものもそうですが、試合に向けた練習も真剣さが増しますので準備含めて得るものは大きくなるのでしょう。
私もワールドマスターは顔つきが違うとか良い顔をしていると家族や練習仲間に言われました。そういう想いが出るんでしょうね。
ヘンゾ・グレイシーの名言で、「1試合は3ヶ月分ぐらいの練習量に相当する」という言葉があるぐらいですからね。
わざわざ辛い想いをしに海外まで行くって不思議ですよね。
猪股選手
taiki
辛いけど、楽しいですよ(笑)
私はムンジアルも出場しましたが、アダルトとマスターは雰囲気が全然違いました。
アダルトはとにかく殺伐としていますが、マスターはとても穏やかで試合が終われば両者笑顔です。
アダルトのような殺伐とした感じはないから、マスター世代の人達こそ、気軽に海外遠征に積極的にチャレンジしてほしいですね。ワールドマスターのお祭り感は体験してこそだと思います。
画像:ワールドマスターの21面マット!これぞ祭り!
猪股選手
taiki
おっしゃる通りです。ぜひマスター世代の人こそ海外遠征にチャレンジしてほしいなぁと思います。
では、そろそろ最後になりますが、猪股さんから一言お願いします。
今回、énóisをはじめて知った方はぜひ道着を試してみてください。私に直接でもネット販売でも構いませんので、énóisをよろしくおねがいします。
猪股選手
taiki
それでは皆さん、énóisの道着を購入して、Buy one Give oneの輪に加わってみてください。世界のどこかでénóisの寄付によって新しく柔術に出会う人が増えることになります!
猪股さん、本日はありがとうございました。
まとめ:énóisの中の人は柔術愛にあふれる素敵なナイスミドルであった
いかがでしたでしょうか?
道着ブランドは小さな会社が多く、なかなか表に出てくることが無いので、販売している人の話は新鮮でしたね。
énóisのBuy One Give Oneのコンセプトも代理店をやっている猪股さんも柔術愛にあふれていました。
その一方で、マスター世代で柔術にハマっちゃった人がどうやって時間のやりくりをして、普段の練習や海外遠征を行っているかがよくわかりましたね。
ぜひ、これを読んだマスター世代の皆様はもちろん、いずれマスター世代になる今はアダルト世代の人も海外遠征にチャレンジしてみてください。
以上「柔術着メーカーénóis中の人に聞いてみた!販売代理店 猪股選手」でした。
オマケ:
ある信頼できる情報筋によると猪股選手は三角絞めを破るのを得意としていて、三角破り研究所として研究に勤しんでいるそうです。
私とは年齢カテゴリが微妙に異なりますがお互い紫帯、フェザー級なので、いつの日か三角絞め研究所vs三角破り研究所の対決がしてみたいです。
乞うご期待っ!
コメント
[…] アメリカ ロサンゼルス生まれのブランドです。三角絞め研究所さんでもインタビュー記事がありましたのでご存じの方も多いのではないでしょうか? […]