こんにちは、taikiです。
前回に続き、青木真也選手のインタビュー後編をお届けしたいと思います。
前編では新著「ストロング本能」とそれにまつわる青木選手の思考を中心に話を聞きましたが、後編はもっとマニアックに柔術の技の話や青木選手からみた柔術界について話を聞いてみました。強くなりたい柔術家・格闘家の皆さん必見の内容になっています。
それでは、お楽しみください!
前編をまだご覧になっていない方はこちらもあわせてどうぞ。
格闘技の断捨離はモノよりもかんたん?
taiki
青木さん、後編もよろしくおねがいします。
後編では少しマニアックな話をさせてください。
改めまして、格闘ドカタ青木真也です。
こちらこそよろしくお願いします。
青木真也選手
taiki
断捨離について教えてください。
著書「空気を読んではいけない」でモノを持たない話があります。青木さんは、新しいものが増えたら、古いものを1つ処分するといった決まりを作ってモノを増やさず、ミニマリストとして暮らしているとのことですが、格闘技の技においてはどのように考えているのでしょうか。
柔術をやっているとポジションごとにいろんなテクニックがあって、とても覚えきれずに取捨選択する必要が出てきます。
青木さんがモノの断捨離をルールを決めて厳格に運用しているのは理解出来たのですが、格闘技の技の断捨離はどのような考えに基づいて行っているのでしょうか。
技に関しては、モノの断捨離よりももっと簡単です。
使う技しか残りません。
スパーリングで使っている技は自然と改良して研鑽されますし、いらない技は使わないので自然と消えてしまいます。
青木真也選手
taiki
その一方で、道場ではいろんなポジションのテクニックを一通りクラスで習いますよね。そうなると技が多すぎて覚えられなかったり、忘れてしまいます。
その話は、2つの視点で考えるとクリアになります。
青木真也選手
taiki
2つの視点?
1つは選手の視点。「選手として強くなること」が目的であれば、柔術やグラップリングはガッツリとスパーリングをやるのが一番強くなります。
スパーリングを通して出てきた課題を修正して、どうしてもわからない時にプライベートレッスンでピンポイントで聞くというやり方が「選手として強くなること」を目的にする場合は良いでしょう。
そのように考えていることもあって僕はテクニックの打ち込みはやりません。
青木真也選手
taiki
なるほど。もう1つはなんですか?
もう1つは、道場経営の視点です。
「柔術を幅広く定着させる」ことを目的にするのであれば、テクニックの打ち込みは必要です。
練習を”技を上手にやる会”にして、習い事として成立させることは大切です。
青木真也選手
taiki
確かに、道場をフリーマットで開館するよりもクラスにして開館した方が人が集まると聞いたことがあります。
トライフォースやカルペ・ディエムといった柔術道場が、柔術を習い事として定着させた功績は大きいですよね。
青木真也選手
taiki
青木選手の視野の広さと冷静な分析力を感じずにはいられない回答でスッと腹落ちしました。
単純にテクニックの打ち込みはいる・いらない論争にするのではなく、選手の視点ではこうで、道場経営の視点からはこうといった感じで整理すると議論の全体像が見えている感じがして納得感があります。
もちろん強い柔術家の中には、テクニックの打ち込みを推奨する選手もいるでしょう。何が正しい・正しくないではなくて、青木選手はこう考える、その上で自分はこう考えるといった判断基準を自分で導き出すことこそがもっとも重要なことな気がしてきました。
仕事を辞めて柔術をやっている人の狂気は価値がある
taiki
柔術は木村拓哉さんがやっているとのことで注目を集めましたが、青木さんから見ると柔術界はどのように見えるのでしょうか。
仕事辞めて柔術やってますみたいな人がたまにいますけど、狂ってますよね。
わざわざお金払って、遠くまで行って、試合して帰ってくるとかスゴくないですか。
青木真也選手
taiki
私は、毎年ラスベガスに行って、ワールドマスター出ていますよ、、、、もちろん自腹で。
!?
ホントですか??狂ってますね(笑)
僕なんか1月にシンガポールに指導に来てくれって言われて行きましたけど、お金もらってもシンガポールまで行くのはめんどくさいなぁとか考えちゃいますからねぇ。
青木真也選手
taiki
狂ってる!?
とっても楽しいですよ。
けど、そういう突飛で狂った人はコンテンツとして面白いからどんどん情報発信した方が良いんですよね。突飛な経験は立派な資産ですから有効活用すると豊かになります。
青木真也選手
taiki
青木さんの言う突飛で狂った体験こそが三角絞め研究所のネタになっていて、少ないながらも広告費が貰えたりしてますから正しいかもしれない。。。
私のワールドマスター遠征の経験は資産だったんですね。
前編でもお話したことの繰り返しになってしまいますが、何だって資産になるんですよ。特に仕事辞めて柔術に打ち込むこととかレアな資産ですから有効活用しないのはもったいないですね。
青木真也選手
taiki
私は柔術を普通に楽しくやっていてそれが突飛で狂った体験だとはあまり思っていませんでしたが、見る人が変わると狂気に見えるということがよくわかりました。
自分が普通だと思っていることは、誰かにとっては狂気で、そのギャップこそが価値を持つんですね。このことこそが青木さんのおっしゃる貴重な経験≒資産ということでしょう。私もこの貴重な資産を有効活用して、三角絞め研究所を続けていこうと思います。
それではそろそろ最後になりますが、青木さんから一言お願いします。
前編でも紹介しましたが、新著「ストロング本能」をよろしくお願いします。
また、3月31日のOneの日本大会に出場します。今回はライト級のタイトルマッチになりますので、応援よろしくお願いします。
青木真也選手
taiki
本日はありがとうございました。
まとめ:多様な視点で物事を見て考えよう
いかがでしたでしょうか。
前編でのネタの出し尽くし感がスゴイとか言わないでください(笑)
技の断捨離の話をどうしても入れたかったのですが、構成を考えるとうまく入れることが出来なかったので無理やり2部構成にして書きました。
一歩間違うと「テクニックの打ち込みは無駄、商売だから仕方なくやっているだけ」という波風が立ちそうな議論なるかもしれません。しかし、もっと高い視点で捉えると選手の視点と道場運営の視点の違いという多様性(ダイバーシティー)の話でした。このように一歩引いて全体を俯瞰して物事を捉える能力こそが青木選手の強さの根源なのかもしれません。
そんな青木選手の高い視点から繰り出される度肝を抜く技や試合を期待しつつ、3月のONE日本大会でライト級タイトルマッチに挑む青木選手を応援しましょう。
以上「青木真也選手に聞いてみた!後編 技の断捨離とその思考」でした。
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