こんにちは、taikiです。
先日、練習仲間と食事をしながら柔術の競技人口は一体何人ぐらいいるのか?という議論になりました。
昨日、柔術人口はどれぐらいいるのかという議論になった。ザックリ考えると300道場×平均会員数50人〜100人だとすると1.5万人〜3万人といったレベル感かなぁ。そう考えると三角絞め研究所は意外とがんばれている気がする。
— 三角絞め研究所 (@triangle_chk) 2018年7月14日
それについてツイートしたら意外と反響がよかったので、せっかくなので柔術を切り口にフェルミ推定という科学的思考力を養成する為の手法を紹介しようと思います。
フェルミ推定で柔術人口を試算しよう
フェルミ推定とはザックリでいいから予想すること
フェルミ推定とは、
実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算することを指す。オーダーエスティメーションや封筒裏の計算(英語版)ともいわれる。
要は、「精緻な値はわからないけど、ザックリ考えるとこんな感じじゃない?」といった概算を事実と推測に基いて仮説を作ることです。
その数字の精度が大事なわけではなく、規模感を抑えることが大事なわけです。
ちなみに、この手のビジネス系記事はフェルミ推定を使っています。
アプローチ1:道場数×会員数
具体的な事例で考えていきましょう。
シンプルに、「柔術道場の数」と「道場あたりの平均会員数」の2つがわかれば日本の柔術人口の規模はわかると考えました。
「柔術道場の数」
今回は、絶対柔術さんの柔術ジム・道場マップを参考にさせて頂きました。
- 事実:東京+関東で128道場ある
- 推測:全国だとザックリとこの2−3倍だろう(数えてもいいけどめんどくさいから数えなかった)
- 推測:全国には256〜384道場ぐらいかな。
- 仮説:あいだをとって300道場ぐらいと仮定
「道場あたりの平均会員数」
平均会員数は、このようなプロセスで考えました。
- 事実:インタビューで聞いた会員数
- 事実:ある道場長に直接聞いた会員数
- 推測:私の所属している道場の会員数(日々の練習で感じる体感人数)
- 推測:実家に帰った時練習させて頂く道場の会員数
- 仮説:平均会員数は50〜100人と仮定
こんなプロセスを経て、道場数300、平均会員数50−100人と試算されました。
これらを掛け合わせるとザックリと柔術の競技人口は1.5万人〜3万人と見積もれるわけです。
アプローチ2:試合エントリー人数÷道場あたり試合参加率
では、違うアプローチもしてみましょう。
「全日本マスター選手権への参加者数」と「道場の全日本マスター平均参加率」がわかれば、日本の競技人口がザックリわかってきます。
ちなみに全日本マスター選手権を選んだ理由としては、もっとも規模が大きい大会なので、サンプルとして妥当だろうと考えたからです。
各道場のこの大会への平均参加率がわかれば逆算して、全体の柔術競技人口が見えてきます。
「全日本マスター選手権への参加者数」
- 事実:全日本マスター2018への参加者数は677人(こちらをカウント)
これに関しては、数値が抑えられるのであまり考えずにすみます。(集計作業は必要ですが)
「道場の全日本マスター平均参加率」
道場の会員さんのうち何%が全日本マスターに参加しているのでしょうか。これは確かな数値がありませんので推計するしかありません。
これに関してはこのような思考プロセスを経て考えました。
- 推測:所属している道場での参加率は大きな大会といえども10%もないけど5%ぐらいはいそう
- 推測:私の所属している道場は比較的試合に出る人は多い道場であって平均値よりも高いと思われる
- 仮説:誰も試合に出ない道場も考慮するとザックリ2-3%が平均出場率
「全日本マスター選手権への参加者数」 ÷ 「道場の全日本マスター平均参加率」
これを計算すると2.2万人〜3.4万人ぐらいと試算されます。
アプローチ1と方法は違えど、近い数字になりました。
アプローチ3:JBJJFの会員÷道場あたりの会員登録率
さらにもう一つのアプローチも考えてみましょう。
「JBJJFの登録会員数」と「各道場におけるJBJJFへの平均会員登録率」がわかれば、柔術の競技人口がぼんやりと見えてきます。
JBJJFの登録会員数
決算書で個人会費による収益を公開しているので、ここから登録会員数をザックリと予想することが出来ます。
こんな思考プロセスでしょうか。
- 事実:JBJJFの個人会費収入 680万円 参考:JBJJF決算書
- 事実:初回登録4,000円、既存会員の更新料3,000円
- 推測:既存会員の方が多いと思われるので、一人あたり平均3,200円程度と仮定
- 仮説:JBJJFの登録会員数 685万円÷3,200円 = 2,140人
各道場におけるJBJJFへの平均会員登録
- 推測:自分が所属している道場のJBJJFへの登録率はザックリ10%程度と思われる
- 推測:自分が所属している道場は比較的試合参加率は高い方と思われる
- 仮説:各道場ごとの登録率はザックリ考えると5%〜10%程度
この2つを組み合わせて考えると柔術競技人口は2.1万人〜4.2万人と推計される。
日本の柔術競技人口まとめ
3つのアプローチで試算しましたが、図にまとめるとこんな感じになります。
結論としては、日本には柔術の競技人口は、2.0万人〜3.0万人ぐらいはいるんじゃないでしょうか。
フェルミ推定を応用してみよう
今回得られた柔術の競技人口を元に、更に違う数字も予想してみましょう。
国内の柔術女子人数を予想する
男性に対して、柔術女子がどれぐらいいるのかわかればその規模は見えてきます。
- 事実:試合における女子率 5.9% 根拠はこちら
- 推測:道場における女子率体感値 0%〜3%
- 仮説:3%と仮定
柔術人口が2-3万人としたら、国内の柔術女子は600人〜900人ぐらいです。
これって結構リアルな数値じゃないですか?
きっとこんなもんでしょう。
柔術着の市場規模を予想する
ビジネスに振って柔術着ビジネスの国内市場がどれぐらいの規模なのかをフェルミ推定を使って考えてみましょう。
「柔術競技人口」×「年間平均購入道着数」×「柔術着の平均価格」の2つがわかれば、なんとなく予想がつきますね。
- 推測:俺はだいたい1年半で1着ぐらいのペースで購入
- 推測:柔術を新たにはじめた人は必ず1着は購入
- 推測:体感的に平均価格は柔術着は2万円ぐらい
- 仮説:2万円の柔術着を年間平均一人あたり0.5着購入する
2万人×2万円×0.5着〜3万人×2万円×0.5着≒2〜3億円
柔術着は、年間2-3億円ぐらいの市場規模になります。
この規模だとさすがにナイキのような大手スポーツ用品ブランドが参入するには小さすぎます。(アディダスはビジネスモデルがまた別。)
こんな規模だからこそ、大手ではなく小規模のエッジが効いたブランドが乱立するわけですね。
まとめ:フェルミ推定はあくまで推定!あってるかどうかは誰もわからない
いかがでしたでしょうか?
柔術の競技人口という切り口でフェルミ推定をご紹介しました。
この数値があっているかどうかは実は誰にもわかりません。
大事なのは「こうやって考えるとこのぐらいの規模になるんじゃないか?」と勝手に予想することです。
予想は大きくハズレていなければそれで十分です。
フェルミ推定は生きていく上でとっても役に立ちます。
柔術でも「スイープ、スイープ、スイープで来たら相手は次もスイープを警戒すると思われるので絞め技がかかりやすいだろう」みたいな予想もフェルミ推定の一種です。
いろんなモノを組み合わせて、勝手に予想するのは日常的に我々はやっています。
ぜひ、数値をあてはめて、いろんなことに応用させてみてください。
以上「柔術の競技人口は何人いるのか?柔術で学ぶフェルミ推定」でした。
研究所からは以上です。
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